第3幕 「戦う少年・大地立也」 3-1 「袋小路」
「おじさん、今日タツは?」
「・・・ちょっと、今日も、行きたくないって。ごめんね、歩ちゃん」
「い、いえ。あの、元気出せよって言っといてください」
「うん、ありがとね。いってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
布団に篭城して3日目。玄関先でのそんなやり取りを大地立也は情けない気持ちで聞いていた。
異形の生き物が家に入ってくることはなかったが、トイレや料理のために部屋をでて、窓から外を見るに、魑魅魍魎の徘徊は続いていた。寝て覚めたら消えると思っていた。そのうち誰かか何かが何とかしてくれて、笑い話になると信じて3日。どうやらどうにもならないようだ。
「立也、父さん仕事行くな。戸締りしっかりしろよ」
「・・・・・・・父さん」
「うん?」
「・・・・・・帰ったら、話聞いてほしいんだ・・・」
「うん、今でもいいよ」
「帰ったらでいい、ありがとう。いってらっしゃい」
「・・・・・・うん、行ってます」
守に相談してもなんにもならないとはわかっていたが、立也に打てる手はそれくらいしかなかった。今度こそ眠って起きたら、化け物どもが消えていますように、そう願って立也は眠った。