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第0幕 「挑戦者の末路」
ようやく、まともと思うものを書いてみます。よろしくお願いします。
風が逆巻いている夜だった。
風雨が遠慮なく吹き込み、部屋の中は滅茶苦茶だった。
万巻の書は雨に濡れ、秘蔵の霊薬は床に散り、長年続いた研究のアトリエは最早壊滅状態であった。
すべてを理解する、神に挑戦する、そう思い定めた、その根城で、男は泣いている。
血にまみれた最愛の女を抱き、自らの浅はかさを呪い、悔やみ、泣いていた。
時々顔を上げては、開け放された窓を見やり、茫々と涙する。
そして、抱いたものの正体を思い出し、再び顔を埋めて嘆く。
何度も、何度も、挑戦者はただそれだけを繰り返していた。
窓の外の暗闇は、彼をただひたすら突き放していた。