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ドレス作りに夢中なので婚約破棄してください!  作者: 和泉


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第14話 家庭教師(3)

「ルーカス様、ありがとうございます」

 あっという間に一時間が過ぎ、ルーカスが帰る時間に。

 ルーカスの説明はとてもわかりやすく、あんなにわからなかった問題がスラスラと解けるようになった。


「また来週続きをやりましょう」

「……来週も来ていただけるのですか?」

「もちろんです。ソフィア嬢が嫌でなければ」

「嬉しいです。お願いします」

 ありがとうございますと微笑むソフィアの笑顔を見たルーカスの顔が色づく。


「ではまた来週」

「はい。お待ちしております」

 ゆっくりと扉を閉めるルーカスをソフィアはお辞儀をしながら見送った。


「そぉふぃあぁ~?」

「十五歳のくせに彼氏を連れ込むなんて!」

「羨ましすぎる!」

 ベス、キャシー、サリーの三人に急に声を掛けられたソフィアはの身体はビクッと跳ねた。


「ち、違いますっ、勉強を教えてもらって」

 真っ赤な顔で両手を身体の前でブンブンと振る。


「イケメンだったわ」

「身なりも良かった」

「まだ若いけど、絶対いい男になるわ」

 絶対に逃がすんじゃないわよと三人はソフィアに念を押す。


「ほ、本当に勉強をっ」

 真っ赤な顔で否定するソフィアの言い訳は、誰にも聞いてもらえなかった。


「……帰ったのか?」

 賑やかな裏口にやってきたマティは、真っ赤な顔のソフィアを見て止まった。


「店長ぉ~、ソフィアがイケメンを連れ込んだんです~」

「あぁ、家庭教師だ。毎週金曜に来るから、お前たちは邪魔するなよ」

「えぇ~。ホントに家庭教師なの~?」

 つまんな~いとキャシーが肩をすくめる。

「でもこれから進展するかも!」

「そうよね! ソフィア、がんばって!」

 それって勉強ではない方ですよね、サリーさん。

 ワイワイ賑やかに会話しながら三人は部屋へと戻っていく。

 ソフィアは勢いに圧倒されたまま、三人を見送った。


「……どうだった?」

「とてもわかりやすくて、ありがたいです」

「そうか」

 ソフィアも早く部屋に戻れよとマティも手を上げて去っていく。


「おやすみなさい」

 ソフィアはマティにお辞儀をし、洗い物をベスが代わりにやってくれたことを確認した後、自分の部屋へ戻った。



 ミシンの扱いにもだいぶ慣れたソフィアは、簡単なスカート部分を任されることが増えた。

 布の裁断も教わり、型紙の作り方もユーリから教わった。

 身体のサイズの測り方、そこから型紙を作る時の計算式。

 ソフィアは製品のドレスの縫い目をほどいて型紙を作っていたが、本当はこうやって作るのだと教わり、やり方を一生懸命覚えた。


 お店へ来て八ヶ月。

 毎日が充実していてソフィアはとても楽しかった。


「ソフィア、ちょっと奥に」

 マティに呼ばれたソフィアはミシンを止め、マティの作業場へ向かう。


「誕生日おめでとう」

 差し出されたワンピースに驚いたソフィアはマティを見上げた。


 上はホルターネック、下はプリーツ。プリーツのひだは幅が小さく、これを作るのは手間がかかる。

 忙しいこの繁忙期にマティは作ってくれたのだ。


「はい、着てみて」

 腰に手を添えられ、パーテーションの向こうに押し込められる。

 ファスナーは横にあり一人でも着替えができるように考慮されている。

 ホルターネックは後ろでリボンに。

 背中が出ていてセクシーすぎるけれど、動くと揺れるプリーツがすごく綺麗。

 やっぱりマティは天才だ。


「マティさん……ちょっと大人っぽいかも……」

 おずおずとパーテーションから出るソフィアの想像以上の美しさにマティは驚き目を見開いた。


「すごく着心地が良くて、スカートも綺麗で。あ、でもホルターネックは慣れていないのでくすぐったくて」

 マティはソフィアの首に手を伸ばし、ホルターネックのリボンをスッとほどく。綺麗に結びなおし、リボンを真っ直ぐに。


「可愛いよ、ソフィア」

「あ、ありがとうございます」

 言われ慣れていない言葉にソフィアは真っ赤になる。

 ポニーテールにしているリボンがシュルッと取られ、マティの手でハーフアップに。

 ソフィアの金髪はふわっと横に広がった。


「うん。そっちの方がいいね」

 微笑むマティにソフィアはドキッとしてしまう。


「さぁ、行こう」

 腰に手を添えられ部屋を出て、仕事中のみんなの横を通り店の正面へ。


「えっ? ソフィア?」

「いやだぁ、めちゃくちゃ可愛い」

 サリーとベスの声が聞こえたが、腰を持たれたソフィアは振り返る事もできないまま、お店の正面から馬車に乗り込む。


「あ、あの、マティさん、どこへ?」

「着いてからのお楽しみ」

 走り出す馬車の窓からソフィアは久しぶりの街の景色を眺めた。



「……今のってソフィア? 誰、今の男」

 王都で一番有名なドレス店チャーチル・ジョンソン・オートクチュールから男と一緒に出てきたソフィアを目撃したオリビアは眉間にシワを寄せた。


 少なくとも、この高級店でドレスが注文できるほどの金持ちだという事だ。

 ソフィアのくせに。


 ニコラスにはしばらく会えていない。

 母親に見つかったあの日以来、ずっと会わせてもらえないのだ。

 それなのに、学園にも来ないソフィアがドレスのオーダー?


 ニコラスとソフィアの婚約がどうなったかわからない。

 婚約破棄をしていたら、傷物令嬢のくせにもう金持ちを捕まえている。

 まだ婚約破棄していなくても、男がいるということだ。


 どうしてソフィアばっかり。

 綺麗な服を着ていたが、あの男に買ってもらったのだろうか?

 男の顔は見えなかったが、背は高かった。

 ニコラスよりもいい男だったら……?


「ずるいじゃない」

 オリビアはギュッと手に力を入れた。

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