お弁当を持ってピクニックに行こう
「皆んなー! お弁当持って来たかなぁー?」
「ハーイ」「持ってきたよー」「当然じゃん」
私もお友だちたちも口々に返事を先生に返し、お弁当が入っているカバンを頭の上に持ち上げて左右に振る。
「それじゃ、出発しましょー!」
先生はピクニックに行きたく無いって駄々をこねる敦くんやミキちゃんの手を、両手で掴み引きずるようにして歩き出した。
ピクニックって言っても行くのは近くの公園。
まだまだ郊外には危ない生物が沢山潜んでいるから、遠くに行けないんだ。
私たちは2人一組になって手をつないて先生の後ろを歩く。
敦くんとミキちゃんは往生際悪く先生に引きずられながらも、「行きたくないー」「離せー!」「助けてー!」って叫んでいる。
公園についた。
先生が「それじゃチョット早いけどお昼にしようか?」って言う。
ワーイ、待ちに待ったお食事タイムだぁー。
皆んなカバンから家で飼っている生きたネズミや鳥なんかが入っているお弁当箱を取り出して、頭から齧りつく。
私たちが生きてるネズミや鳥を食べているのを見て、敦くんやミキちゃんが逃げようと暴れる。
仕方が無いのよ、アナタたちは人を進化させるあの病源菌に感染したくないと逃げ回っていたんだから。
60年前、全世界であの病源菌が蔓延する。
感染した人たちは旧人類の言葉を借りるとゾンビになった。
でも、確かに映画の中のゾンビみたく生きた生物の肉しか食べられなくなったけど、新陳代謝がすごーく遅くなって長生きできるようになったの。
だから私たちは病源菌が蔓延した幼稚園児だった60年前の頃と体つきは殆ど変わらないけど、敦くんやミキちゃんは家のおじいちゃんやおばあちゃんみたいな見た目になっている。
まぁ映画の中のゾンビみたいになっちゃった野良ゾンビもいるけど、それらは見つかるとおまわりさんとかが捕まえて研究所に連れて行かれるんだ。
なんで私たちみたく知能があって長生きできる新人類になった者と、映画の中のゾンビみたくなっちゃった者がでたのかが分からなくて、未だ研究中なんだって。
先生が敦くんとミキちゃんを押さえつけて私たちに声を掛ける。
「皆んなー! 貴重な旧人類のお肉なんだから1人一口ずつですよー」
ワーイ、旧人類のお肉ってすごーく美味しいんだよね、だから皆んな今日のピクニックを楽しみしてたんだから。
私たちは先生が押さえつけている敦くんやミキちゃんのお肉を一口ずつ頂いた。
「やっぱり旧人類のお肉は美味しいねー」