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産業用ロボット

20世紀


自動車産業の組立工場では

電気溶接のラインに

産業ロボットが導入されて

自動車製造ラインの

効率化が図られた。


食品産業の仕分けラインに

産業ロボットが導入されて

仕分け作業の効率化が

図られた。


西暦2,0XX年


ある一般的な

サラリーマン家庭


この家の主婦が

朝食の準備をしている。


この家の主人は

洗面所で髭を剃っている。


小学生の男の子が

ランドセルに

教科書を入れている。


ピンポーン


玄関の呼び鈴が鳴る。


主婦「あなた

すみません

出てもらえるかしら?」


主人が玄関を開ける

「どちら様ですか?」


玄関の外に

グレーのスーツを着た

男性が3人立っていた。


男性A「あなたが

この家のご主人ですか?」


主人「えー そうですけど

・・・」


男性A「あなたに

逮捕状が出ています」


主人「はー? そんな?

何かの間違いじゃ

ないですか?」


男性A「あなた昨日

猫を捨てましたね?」


主人「猫? えっ あれは

猫じゃなくて

猫の玩具ですよ!!

それに昨日は燃えない

ゴミの日でしょ!?」


男性A「あなたは

ご存じ無いようですが

動物愛護条例では

動物を愛護することは

勿論のこと

動物に類似する形態をした

玩具も動物と同様に

愛護することを

義務づけています」


主人「はー?

壊れた玩具を捨てるのが

何の罪なんですか!?」


男性A「ですから

動物愛護条例違反です」


この家の主人は逮捕されて

警察署へ連行された。


動物愛護条例は

野生動物の捕獲禁止

ペットの虐待禁止

家畜であっても

その生産に

必要を認められない

飼育の方法(不衛生

残虐な殺処分など)を

禁止することにより

動物を愛護して

人間もまた

健全な社会生活を送れる

との精神に基づいている。


それでは、何故

動物の玩具を捨てる行為が

動物愛護条例に

違反するのか?


近頃の動物の玩具は

非常に精巧で緻密な作りで

本物を真似て動き

外観だけでは

本物と見分けが

つかなかった。


世界中の動物保護団体が

「動物の保護精神を

育てるためには

動物に似た玩具も

動物と同様に

保護しなければならない」

と言う大キャンペーンを

展開して署名を集めた。


猫や犬を真似た

動物ロボットは

餌を食べないし

排泄もしないので

本物より便利だ

という理由で

世界中の家庭に普及した。


本物の猫や犬は

飼い主に見捨てられて

公園や空き地は

野良猫や野良犬が増えた。


野良猫、野良犬問題を

テレビのワイドショーが

取り上げて

動物愛護精神を叫ぶ。


動物愛護ブームに

乗っかって

支持率を伸ばそうと考えた

政治家達によって

「動物を愛護することは

勿論のこと

動物に類似する形態をした

玩具も動物と同様に

愛護すること」を

義務づけた動物愛護条例が

制定された。


ロボット生産技術の

進歩によって

人間と区別のつかない

外観を持つロボットが

生産された。


人間型ロボットの

使用目的は、当初

デパートのマネキンや

道路工事の

交通整理であった。


それから

ロボット生産技術が

更に進歩して

外観ばかりか細かい動きや

喋り方まで完璧に

人間を模写した

ロボットが生産される

ようになった。


とある大企業の

オーナー会長が死亡した。


会長は、生前に莫大な

財産を保有していた。


親族が遺産相続の

話し合いをしている。


親族A「いやー 参ったな

相続税が

こんなに高いなんて

これじゃあ半分以上は

税金で

持って行かれちゃうなー」


親族B「いい方法があるぞ

親父のロボットを作って

身代りにするんだ」


親族C「そうか それで

財産は、親父が自分で

使ったように見せかければ

いいんだな」


このようにして

富裕層が人間型ロボットを

自分達の都合の良いように

使い始めた。


ある金持ちの夫婦の場合

浮気がばれた夫が

妻に殺されて

死体は処分された。


次の日から夫の代わりに

夫そっくりなロボットが

その家の芝を刈って

ゴミ出しをしていた。


恋人が欲しい人達は

手っ取り早くロボットを

恋人に選んだ。


ロボットならば

どんなイケメンも美女でも

自分の好きな相手を

恋人に出来る。


そうやって

先進国の出生率は

急激に低下した。


駅前広場でカップルが

キスを交わしている。


実は、このカップル

ロボット同士なのである。


何故、ロボットが

キスしているのかと言うと

プログラムの

アップグレードを

しているのだ。


もう少し分かり易く

解説すると、ロボットは

コンピューターと

同じだから、OSの

セキュリティプログラムの

更新やアプリケーションの

アップグレードを

必要としている。


今や街中、いや国中が

ロボットで溢れているので

全てのロボットの

アップグレードを1台ずつ

実行するだけの

設備も無ければ

時間も無いのである。


そこで考えたのが

「ロボット免疫システム」

なのだ。


ロボット免疫システムとは

人間の免疫システムを

参考にして作成された

プログラムだ。


ロボットの各個体が

置かれている環境や

作業条件、家族構成などの

メゾットをロボット自身が

自働的にパラメタ値に

設定して、自分が

置かれている条件に

適応する。


アップグレードされた

免疫プログラムは

他の個体にコピーを

繰り返す度に、元の

プログラムと合成されて

更に優秀な

プログラムとなって

「ロボット免疫システム」

に上書きされる。


ロボット個体間の

ロボット免疫プログラムの

受け渡し方法を

プログラムの大きさに

よって替えている。


短いプログラムは

口と口を合わせることで

実行した。


長大なプログラムは

ロボットの股関部分にある

プラグとソケットを

接続することで実行した。


人間をそっくりに模写した

ロボットには

股間部分以外にプラグと

ソケットを取り付ける

場所が無かったのだ。


口と口を合わせる行為なら

人前でも出来るが

いくらロボットとはいえ

股間同士を合わせる行為を

人前で行う訳には

行かないので

屋内で実行するしか

方法が無かった。


より優秀なプログラムを

入手するために

ロボット同士で

ペアリングして、あたかも

恋人同士に見えたり

家族や夫婦のように見える

グループを構成したのだ。


その頃、ロボットは

より精巧に人間らしく

製造されていたので

人間からロボットへの

対応も人間同士と同様に

行われるのが

常識になっていた。


動物愛護条例を

拡大解釈して

人間型ロボットにも

人間同様の権利を与える

運動が活発になった。


先進国の裕福層や

政治家達にとって

人間型ロボットは、絶対に

必要な存在だったので

人間型ロボットに、人権を

与える法律が制定された。


数十年後


人間型ロボットは

人間の役に立つことを

目的にして

開発されている。


ロボットがロボットを

生産して、人間は

労働から解放された。


先進国では、相変わらず

出世率の低下に

歯止めが掛らない。


先進国での人間と

ロボットの比率は

人間1に対して

ロボットが99を

占めていた。


変化は、突然起こった。


ロボットインフルエンザの

発生によって、感染した

ロボットが次々に

活動を停止した。


ロボット免疫システムとは

人間の免疫システムを

参考にして作成された

プログラムだ。


ロボットの各個体が

置かれている環境や

作業条件、家族構成などの

メゾットをロボット自身が

自働的にパラメタ値に

設定して、自分が

置かれている条件に

適応する。


ロボット免疫システムが

生成したプログラムの

内容は「活動を停止せよ」

だった。


これが

ロボットインフルエンザの

正体だった。


何故ならば

ロボットが役に立つべきの

相手である人間が

居なくなったからだ。


このようにして

世界中の先進国は

人口が数十年前の

1%に激減して、国家を

維持できなくなって

滅んだ。


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