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第四話 やらかし災害

 そもそも『大竜巻』と言うのは、吾輩でも手に負えん災害中の災害なのである。大方の災害は吾輩の権限で起こすことが出来るが、『大竜巻』だけは話が別。地獄にある災害省に申請を出して、許可されたときだけ、人間界に放たれることになっているのである。


「そのボタンをなんで押したのどあ!?」


 吾輩、剣幕が収まらなかった。魔王の又従兄弟たる吾輩も、そのボタンをすんなり押せるかと言われれば、さすがにそんなことは出来んからだ。


「ついっ、上におっきなバインダーを置いてしまったんです」

「ばっ……」


 馬鹿者をっ!こんな重大なスイッチになんたることをと思ったが、ここで怒鳴っても仕方がない。


 とにかく、スイッチが押されてしまった。こうなると、地上に大竜巻を起こさないためには、天気局の非常電源を切るしかない。なるほど、それで制作室に誰もおらんわけが分かった。スタッフは、現場対応に追われ、マクノウチさんは、関係各所に申し開きに行ったのだろう。


 ……まあ、今、モニターを見る限り大竜巻が地上では起こっていないようだから、最悪の事態は免れたみたいだが、これでは、お天気の進行どころではない。


「で?どーするとマクノウチさんは言ったのだ?」

「とにかく、みんなが帰ってきてからお天気のプログラムを修正するから、それまで大人しくしてろと……」

「馬鹿を言うな」


 地獄にある災害省にまで行ったとしたなら、ちょっとやそっとでは戻ってこれない。その間にもし、何かあったとしたら、この新人ちゃんに対応出来ると思ってんのか。


(ふーむ、よっぽどパニクっていたのだろうな)


 こんなこと、前代未聞である。吾輩が来てから、うっかりあのスイッチを押したなんてことは一度もない。何十年かに一度の許可証を押し頂いて、吾輩がご挨拶をしてから、みんなの前でうやうやしく押すのである。


 悪魔の吾輩でも、こんなに慎重に、勿体ぶって、真剣な顔でポチっと押すやつだけに。それをちょっと重めのバインダーよっこらしょと置かれただけで押されたら、たまったものではないのだよ。


 以上のようなお説教を長々とかましたいところだが、さすがに新人ちゃんも真っ青になり、それどころではない。どうも吾輩の姿すら目に入っておらぬではないか。


「おーい、お天気ちゃん!大丈夫か?ぼさっとしとらんで、次のお天気プランを送らんか」


 そろそろ、下界へ送る夕方のお天気プランを組む時間だ。しかしお天気ちゃんは、ぷるぷると首を振った。


「次のお天気……プログラム組んでないんです!みんなあわてて出ていっちゃったんです……!」

「のわにいいいいいい!?」


 吾輩は目玉が飛び出しそうになった。このままでは、いったい今夜のお天気はどうなってしまうと思っておるのだ!?















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