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第三話 お天気ちゃんミスりすぎ

 それからお天気ちゃんは、失敗しまくった。吾輩のフォローをやっぱり勘違いしまくってたらしく、もう毎日がミス、いやむしろすすんでやってるのかと思うくらいの失敗の嵐であった。出番が増えていいぜとか、ロックなこと言ってた吾輩は、今さら後悔の嵐である。お陰で朝からヘビロテでシャバダバなのだ。


「閣下おなしゃーす」

「閣下おつかれーす」

「昼もおなしゃーす」

「昼もおつかれーす」

「またまたおなしゃーす」

「またまたおつかれうぃーす」


 ついに名前も呼ばれなくなった。最後のおつかれうぃーすってなんだ。なめとんのかあのAD。


 地獄で鍛えに鍛えた吾輩と楽団だが、さすがに一日、何回もはキツイ。本来ならなあ、災害パワーと言うのは、とんッ………!でもないのだ。一日何回もつかったらしんどい。地上の人間界だって、一日何回も災害を仕掛けられて、いいことなんて絶対あるはずあるまい。


 くっ、こうなったら。これだけはしたくなかったが。悪魔の職権乱用だ。Pに八つ当たりしてやる。


「くおら!一体どぅおおおーなっておるのだ!?魔王の又従兄弟の吾輩をワンオペシフトでこき使って、いいと思っておるのかああん?」


 一番偉いやつ怒鳴ってやろうと思ったが、あんれえ?誰もおらん。制作室に人がいないなんてことあるものなのか?こんな光景みたことない。モニターには、地上の天気が垂れ流し、進行は、ほったらかしである。Pの首が飛ぶなんてもんじゃない。これ、知らない人入ってきて勝手にいじくったら日本のお天気変わっちゃうよ?


「ひいいいっ、ごめんなさい閣下!わたしのミスのせいですよね、本当にごめんなさい!」


 あれっ、誰もいないと思っておったら、お天気ちゃんがいた。どうやら、机の下に隠れていたらしい。なんやってんだ。


「編成のマクノウチさんはおらんのか?」


 吾輩は怒鳴りつけてやろうと思った、一番偉いやつの名前を呼んだ。


「もっ、戻りません!なんかっ、とんでもないことが起きちゃったみたいで……!」


 お天気ちゃん、真っ青な顔をしている。吾輩のありがたいアドバイスも、あんまし効果ないあほの子なのでミスしても気にしないないのかと思っていたが、本人なりには、反省してはいたのだろう。


「なんだ、またなんかやらかしたのか?」


 吾輩が呆れつつも聞いてみると、


「はい、そうみたいなんです……」


 とまあ、大分落ちておる。これは、下手に刺激してはならんな。Pは怒鳴れても、新人ちゃんは怒鳴れない。何故ならパワハラになってしまうからである。


「ま、仕方がない、やってしまったことはな。……我々悪魔にもだなあ、魔王にも破壊の誤り、と言う言葉がある。魔王も間違って人間どもに破壊をもたらしてから、ああやりすぎちまったなあなんて、後悔するなんてこともあるのだよ」


「ううっ、わたし……どうしてこう皆さんの話がちゃんと聞けないんでしょうか……」


 え、吾輩なんて言っていいか、分からない。ちゃんと聞いてないって言うか、げんに今、吾輩のありがたい話完全スルーしたし。だがま、仕方がない。この子はまだ素人同然なのだ。コンプライアンス的にも、怒ってはいけない。


「うん、そうだなあ。こうゆうのってだんだん、余裕が出てくるもんじゃないかなあ……悪魔の吾輩が言うようなことじゃないけど。ちなみにさ、今回はどんなことしてしまったのかな?」


 吾輩は明るく聞いた。たぶん、吾輩がフォローするんだろう。怒ってはいけない。まずはお天気ちゃんの心を開いてあげねば。そんな吾輩の気持ちが通じたのか、お天気ちゃんは、手に持っていた『何か』を吾輩に渡してきた。

 ずっしりと重いカバンである。中にはスイッチが一個だけ。何だこれ。核ミサイルのスイッチみたいだ。


「間違えてこれ、押しちゃったんです……」


 吾輩は、中を見た。スイッチの上に書いてある。『大竜巻』だとおおおおお!?


「なんばしよっとかコラ!悪魔舐めとんのかあっ!」


 吾輩は、思わず怒鳴ってしまった。いや、これはあかんて。



















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《びりびりな話》
― 新着の感想 ―
[良い点] ちかげ節炸裂ですね! まだ完結ではないようですが、とても面白く読ませていただいてます。 お天気ちゃん、といいますか、閣下の今後がとても気になるところですが、どうかくれぐれもご無理はなさら…
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