生命
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「痛い…やめて!!…なんでっ…」
そんな言葉は届くはずがないのに、いつもあの人たちに向かって叫んでいる。
僕はもう、名前も、年齢も、好きだったことも全て覚えてない、思い出せない。最後に涙を流したのはいつだろう。
ただ、ずっと思っているのは(死にたい、消えたい、救われたい)ということだけ。
どんなことを言っても全て無駄なのかな。
私はいつも何もできなくてただ苦しんでるのを見てるだけ。
傍観者でしかいられない。
なんで助けられないの?
『もういじめられるのは嫌だ。なんでいじめられてるの?』
『早く助けられる様になりたい、救ってあげたい。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーもう全てリセットしようーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は職員室の入り口にある鍵置き場から屋上の鍵を他の人が先生と話している隙をみて盗った。
今は11:20…次の時間、四時間目は自習、どうせ虐められるからまともに勉強できないな。
〈ギュッ〉
僕は御守りを握る。いじめが始まったころに友達からもらった御守り。その子が転校した頃からいじめがひどくなっていった。
〈カラララ…パタン〉
〈キーンコーン…キーンコーン…〉
[ちっ、監督教師きやがって」
さっきの時間、先生が来てくれたおかげでいじめられなかった。
そのおかげで考えられた。
そして、決めた。
昨日書いた手紙を机の中に入れて鍵を持ち屋上へ向かう階段を登る。
(誰にもみられていません様に)
【YYY一緒に弁当たべよー】
[うん。]
あれ、あの階段登っていくのってZZZだよね、あの上って二年生の教室と屋上しかないよね…
二年生の教室にようがあるのかな…いや、ちょっと待って、さっき担任に言われて監督してくれる先生を呼びに行ったとき、ZZZたしか職員室に来てたよね。何をしに来てたの…?
ーいやな予感がするー
[ごめん、用事思い出しちゃった。先に中庭の金木犀の下にいて。用事急いで終わらしていくから。]
【うん、わかった。】
私は教室に弁当を置いて屋上へ向かう階段を駆け上る。
僕はさっき盗ってきてた鍵を使って屋上への扉の鍵を開け、強い日光が照りつける外に出る。
4Fの上にある屋上へは初めていく。
屋上のところに置いてあったハシゴを使って屋上の階段の所の屋根に立つ。
「やっぱ、南東の風、強いな。気持ちいいな。」
私は急いで階段を駆け登ってしまってるけど鍵が刺さっている屋上への扉を開ける。
そこにZZZの姿はない。けど、足元のカーボンみたいなシートを踏んだせいで汚れた黒い上靴の足跡が残ってる。足跡を辿って歩くとそこには不自然な梯子がついている。
梯子を登るとZZZが立っていた。
[いた…]
なんでだ、ここにくるのは誰にもみられてなかったはずなのに。
「なんでここにいるんだ、YYY」
[それはこっちのセリフ、なんでここにいるの、ZZZ]
「ちょっと考えごとしたいだけだ。1人にしてくれ、YYY」
[むり、離れられない。私はずっと傍観者だった。ZZZを救いたい、助けたいの]
やっと助けたいって言ってくれるひとがいた。でも、もう遅い、もうキメタカラ。
「ごめん、今は1人にしてくれ、離れてくれ。」
[やだ、行かない。]
くそ、もうこうなったら賭けるしか…
〈ガッ、カシャン〉
え、ZZZ?!
急にフェンスを超えて、向こうに行っちゃった…もしかしてっ!
僕はフェンスを超えてYYYのほう、由花のほうを向く。
そして、由花に向かってこう呟く。
「救おうとしてくれてありがとな。でも、もう遅いんだ。全てきめたから。サヨウナラ」
こう言って僕は屋上から中庭に向かって落ちていった。
[……………………!!]
由花が何かを叫んでいたがもう聞こえない。
落ちていくのを感じながら目を静かに閉じる。
頬の上をぬるい液体が流れていく。
(これが、涙か。…懐かしいな。)
流れていくのを感じながら思い出していく。
(ああ、思い出した。僕の名前は、雄、雄だったな。中3だ。はぁ、高校生に、なりたかったな。)
落ちていく風を感じていたが、やがて、叫び声と鈍い頭への痛みを感じた。
そして、僕の意識はそこでプツンと切れた。
〈きゃーーーーー!!!!!!」
『誰か先生呼んできてっ!』
[はぁ、はぁ…]
私がそこでみたのは頭から血を流している、雄の姿だった。
見えにくいけど、涙が流れた後があった。
⦅救えなかった…そんな…⦆
その日はすぐに家へ強制下校になった。次の日の朝、学校で緊急の全校集会が行われて、説明があった。机の中に入ってたという手紙には、
「「僕は中1から、ずっといじめを受けていた。何度もやめてとは言ったけどだめだった。なら、もういいや。僕はもう救われることなんてないんだって気づいた。そして、こんなに苦しむ日がまだ続くなら、もう自ら消えてやろう、死んでやろうときめた。最後に、誰か救ってくれるひとがいればよかったな。サヨウナラ」」
と書いてあったらしい。
私は悔しかった。
この手紙には続きがある。
「「由花、救おうとしてくれてるのは知ってたよ。ありがとう。」」