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嗚呼、堕落人生にさようなら

作者: 天泣

 忘れないでください。私が人を殺したことを。


 ついこの間、出かけようと言ったばかりでした。

 ついこの間、釣りに行こうと誘ったばかりでした。

 ついこの間、職場近くの店に来たよと報告し、そして今度じゃがいもを収穫しに行きたいとお願いをしたばかりでした。


 なのに意識が戻らないのは何故でしょう。


 ついこの間、賞を取ってしまったからでしょうか。

 ついこの間、家を引っ越したからでしょうか。

 ついこの間、今が楽しいと思ってしまったからでしょうか。

 ついこの間、幸せだと思ってしまったからでしょうか。


 私なんかが幸せになってはいけなかったのです。幸せだと思ってしまったせいであの方は意識を失ってしまったのでしょう。私が幸せになると1人不幸になる。


 こんな体要らない。こんなことになるなら死んでおけばよかった。親からも嫌われ、使えないと言われてきた私はこの世に居ない方がいいのでしょう。


 あぁ、神様、仏様。私をお助け下さい。この嫌な世界から、人生からお助け下さい。私には人の心ってものがないのです。もし、もし来世人間に生まれ変わることが出来たなら私に人の心をください。どうか神の御加護があらんことを。


「使えない。役立たず。考えて行動できないの?」

 これは私のことです。いつからこんなに弱くなってしまったのでしょうか。いつから性格が変わってしまったのでしょうか。辛いとは思いません。これが私の日常ですから。人から命令、指示がないと動けないロボットなのです。これじゃあだめでしょうか。でもこれには理由(わけ)があるのです。


 昔は人のために動くのが好きでしたので自分で考えて行動していましたが、ある時怒られたのです。

「お前がやると遅くなる。無駄なことしかしないと。」

 間違ってはいないと思います。慣れていない私より慣れている貴方の方がよっぽど早いと。しかし助けようと。少しでも貴方がすることが少なくなればと善意でやったことで怒られたのです。それがとてもショックでそれ以来言われたこと以外はしなくなりました。


 これが人の心がないロボットになった理由なのです。


 とうとう、あの方は亡くなりました。


 ロボットが人殺し。笑えますね。何処かの小説でしょうか。あぁ、さようなら。


 この笑えない人生にさようなら。地獄にさようなら。死にたいのに死ねないこの世界にさようなら。

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