chapter ∞
生きてりゃいーこともある。最初にそう提言した人は凄いね。大当たり。
あのあと叶里奈とも上手くいってるし、前の険悪さが嘘のように仲良くなった。叶里奈は天の邪鬼だから寂しさが全部ああいった意地悪な形で出てたんだろうな。誰に似たんだか。
俺はと言うと性別は男で統一しようと真っ直中。学校なんか色々手続きとか面倒だろうなって思ってたのに。あのバカ学校、迷羽の兄だって言ったら信じ切ってて、カヨの存在はさっぱりなかったことにしてくれたりして。ま、あとでそれが両親の圧力のタマモノだってことを知るんだけども。あの親は俺らを思ってんだか思ってないんだかわからない。
一番のニュースは……なんと! なんと……。はぁ……。京姫があのバカ兄貴と付き合い始めたってことだな。経緯なんか思い出したくもない。あれのどこがいいんだか、俺にしときゃいいのに。って、まだ京姫には遺伝子のこととか伝えてないんだけど。だから、カヨが忽然と消えたって思い続けてる。そろそろネタ晴らししてもいい頃合いかなーと思ってはいるけど、いざっていうとねー。
俺も付き合えたらなぁ、今度兄貴に女性を口説くコツでも聞いてみるか。いや、あまり参考にならないかも。相手が相手だしなぁ。弱ってた時にさらっと告白しちゃってた気はするけど、あれはノーカンだろう。告白ってどうやるんだっけ?
俺にとっての何よりの朗報は最近は変な夢を見ないってことになるかな。学校も籍を起き続けてるだけで行かずに裸でごろごろしてる。大好きな作詩をしたりしながら。しぐれも大目に見てくれてたけどそろそろ怒られる気がするなぁ~。こんなどこかの物語みたいなことが起きるなんて、事実は小説よりも奇なり。まさにそのとおり。
ラジオからは兄貴のバンドの曲が流れてる。無事メジャーデビュー出来て何より。終わりよければすべてよしっていうより、今が良ければすべてよし! って感じかな。
「叶夜、遊びに来たわよ。あーまた裸なの。今日はまだ下着を穿いてるだけましかもしれないけど、いい加減にしなよね。せっかく京姫を連れてきてあげたのに」
「うそ」
「嘘じゃないわよ。どうぞ、上がって」
「お邪魔しまーす。迷羽さんがいるって聞いてきたんですけど、お兄さんですか?」
「いや、その迷羽さんが俺」
「お、男だったんですかー!?」
「ま、そう思っといてくれてもいーかな」
「しぐれさん、そうなんですか?」
「あいつがそう言うならそうなんじゃない」
「それより、京姫~。どこ見て男だとわかったのかなぁ?」
「京姫ちゃんをいじめて私に怒られるのと、京姫ちゃんに優しくて私に優しくしてもらえるのとどっちがいい?」
「こ、後者でお願いします」
「あれ、空夜さんは今日はいないんですか?」
「ああ、いるよ。呼んでやるよ。兄貴ー!」
しーん。
「カッコイイお兄様!」
「呼んだかい我が妹だった弟」
「京姫来てるよ。なーんだ空夜目当てか」
「私がいるじゃない」
「そーだよねって叶里奈!? 学校にいるんじゃ」
「サボり」
「じゃ、部屋で感じた視線ってお前……」
「大丈夫。叶夜がサミシイ思いしてるのは内緒にしといてあげる」
「忘れて」
恥ずかしいな。見られちゃったか。誰にも見せたことない行為だってのに。いーけどさ。(いいのかよ)
この屋敷でこんなに楽しく過ごせるなんて思ってもみなかったな。静かで独りだったのが嘘かのように今はにぎやか。にぎやかなのって楽しいことだったんだ。うざったいことだと思ってたのにな。
「なあ、今日は何をしようか?」
了
最後までお付き合い頂きありがとうございます!
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また別の作品にてお会いしましょう( ✌︎'ω')✌︎