ガルーダ様
ある朝、みゅーが、家を出ようとしたら、扉も窓も開かなくなっていた。
「みゅみゅみゅっ! ぢょうして(どうして)?」
パニックになって、あちこちにぶつかったみゅー。
「痛いの……」
結局、開く事もなく、時間だけが過ぎていった。
「ぢょうしちぇ(どうして)も開かないの……」
疲れて、少し落ち着いてきた頃、何かカバンに入っているかもしれないと、探してみれば、 "みゅーちゃんの豆ハウス説明図" と書かれた巻物を発見する。
それは、図解してあり、みゅーにも分かりやすく書かれているものだった。
みゅーは、早速広げて扉部分を見た。最初に、オートロックと書いてある。
何の事だかわからなくて、少し考えてみたが、木の扉に見えるけど、もしかして、岩の扉だったのかもしれないと、勝手に納得した。
次は、雲から雫が落ちている絵に、赤でバツ印がついている。
「こりぇは、雨が降っちぇりゅから、水が入りゃないように開かないのかしら?」
窓にも、同じような図解が書いてあるので、それで間違いないようだ。
今日は出られないのだと、早々に諦めたみゅーである。
◇◆
翌日には、外に出る事は出来たが、水捌けの悪い場所が所々にあって、小さいみゅーには、沼地になり「溺れちゃうの」と、大騒ぎである。
顔面から、コケて突っ込んだ時には、どうしたことか、ガルーダが助けに来てくれた!
みゅーが、我に返って、お礼を言う前に飛び去ってしまい、また監視を始めてしまったが……。
「食べないで、ぢょうして助けてくりぇちゃのかな?」
考えごとして歩くものだから、みゅーが、泥に突っ込んだ回数は、10回を越えた。
「うみゅ、泥食べちゃっちゃの。うぺっ」
流石にイラッとしたガルーダは、みゅーを助けた後、留まって初めて話しをした。
「お・ま・え・は・ア・ホ・か!」
「みゅーは、アホじゃなくて、みゅーって言うんぢゃよ」
満面の笑み。
顔を引きつらせながら、「もういい。分かったから、今日は、終いにしろ」
「みゅみゅっ。まぢゃ、夕日の方角がわかりゃないから、頑張りゅの」
「夕日の方角とは何だ?」
「みゅーが向かう先なの」
「山か。それより、お前、黄色い竜とどんな関係だ?」
「黄色の竜しゃんっちぇ、アシャトのお庭に居りゅ、ルビしゃんぢぇすか?」
「あれは、ルビと言うのか……呼び名があるのか。生意気だ」
「みゅっ、あなちゃは、鳥しゃん?」
「たわけー! 鳥などではない! 我は、偉大なガルーダ様だ!」