お友達
「ちゅ?」
「うみょ~、光るお花が翔んでましゅ」
「風避けには丁度良い場所であるな。今夜はここで休むとしよう」
竜王様が居心地の良い場所を探している間に、みゅーさんと私は、ポワ~ンと淡く光るふわふわの花にピョンピョンして触ろうとしました。
「みゅっ、みゅっ、みゅーっ!」
ポン。
「みょーっ、弾けちゃ」
私は、壁をのぼって横から狙いました。
チョワーッ!
ポポポポン。
「みょみょー、ネジュちゃん凄~い」
「キキッ」
みゅーさんと競争でちゅー。
ふわふわな花は、奥から翔んで来るので、知らずに奥に行ってしまいました。
壁をみゅーさんと夢中でのぼっていて、竜王様から離れている事に気付いた時は遅かったのでちゅー。
「みゅーさんあっちからふわふわさんが出てきますよ」
「ふみゅみゅっ! 本当ぢゃ」
みゅーさんと中を覗くと、真ん中の盛り上がっているところから、沢山ふわふわが生まれていました。
「みゅみゅっ?」
みゅーさんは、真っ直ぐ向かってしまいました。
私も追いかけて、みゅーさんとふわふわを散らかして遊んでいたんです。
「うふふ、アシャトに見せちぇあげちゃいね」
「はい、みゅーさん、これを鞄に沢山詰めて帰りましょう」
「しょうしよう。みゅっ? ネジュちゃんの鞄には何が入っちぇりゅの?」
「お水や木の実じゃないんでしょうか?」
「みゅみゅっ。見ちぇみょー」
ユサユサユサ。
「みゅーさん、地面が揺れてまちゅー」
「ふみゅ」
竜王様が何かされたのかと、戻ろうとした足を誰かに握られました……。
「みゅ、みゅ、みゅーさん……」
「みゅみゅっ、ネジュちゃん?」
「誰かが私の足を掴んでいまちゅー!」
「ふみょ~、誰しゃんなの~?」
今度は、緑色のウネウネが下から溢れてきまちゅー!
「うみょ~、みゅーも捕まっちゃっちゃ」
蔦のような物にお腹をぐるぐる巻きでちゅー。
「誰だい? 影の夜の産卵を邪魔してくれたのは!」
下から出て来たのは、髪が緑の蔦で女の人の形をしていました。
「みゅみゅっ。緑しゃん、みゅーぢぇしゅ。邪魔しちぇごめんなしゃい」
みゅーさんは、素直ですぅ。プルプル。
「あ~ら、あんたはまだ幼精じゃないか。なのに名前があるなんて、随分珍しい」
「みゅっ、女神様に時間をもらっちゃの」
「ふ~ん」
緑さんは、捕まえたみゅーさんを自分に近づけて、逆さにしたりしながら確かめているみたいでした。
「まあ、いい。こっちは、丸々したネズミだね。美味しそうだねぇ」
「ちゅー」
今度は、私が見られていまちゅー!
「みゅみゅっ、やめちぇ、ネジュちゃんはみゅーの大切なお友達なの」
「ふ~ん、ネズミとかい?」
「うみゅ」
みゅーさん……。
「じゃあ、代わりにお前が食べられるか~い?」
「うみょ~、みゅーを食べちゃりゃ、お腹痛くしゅりゅよ?」
「ホホホホホ、面白いね」
蔦で、撫で撫でされてもう限界でちゅー。
「そこまでにせんか」
「「竜王様!」」
緑さんは、また笑いました。
「これはこれは、ようこそ竜王様」
「小さき者達を放してはくれぬか?」
「おや、妖精でもない者とただのネズミを庇われるなんて、ワタシャもしかして楽しいオモチャを手に入れてしまったかい?」
「争うつもりも、そなたの邪魔をするつもりもない」
「ふ~ん、なんだか面白くないねぇ……」
竜王様に怯まないなんて、緑さんは強いですぅ。
「そうだ! 最近、この辺りを彷徨く輩が多くてね、竜王様なら簡単に追い払う事が出来るだろう?」
「誰も近づかないように計らえばよいのだな?」
「ホホ、言ってみるもんだねぇ」
そう言うと、私とみゅーさんを竜王様の前に放してくれました。
良かったでちゅー。
「では、行くぞ」
どうしてか、みゅーさんは緑さんに近づいてしまい、私は、恐くて止める事が出来ませんでした。
「邪魔しちぇごめんなしゃい。こりぇ、アシャトがみゅーの為に作っちぇくりぇちゃ、敵意のありゅモノが近ぢゅくちょ、リンリン鳴っちぇ教えちぇくりぇりゅ道具なの」
ニコニコと、鞄についていた花の飾りを渡していた。
「恐い目に合わせたアタシにくれるのかい?」
「うみゅ。どうじょ」
「フッ、参ったね」
「小さき者は守るものであろう?」
「みゅーだっけ? お前なら、また遊びに来てもいいとしよう。ああ、お友達のネズミもな」
「ありがちょう緑しゃん」
「それと、アタシャ緑しゃんなんかでないよ。シーグレイプスだよ。覚えときな」
みゅーさんは、必ず遊びに来ると言っていましたが、私は二度と来たくありません。