ノーサスの伝言
「こんな小さい竜なんていないっしょ! 蛾だよ蛾」
「でもキト、キラキラしているぞ」
「ケフッ」
竜王様が、「ギャウ」と鳴いて尻尾で黄色帽子の小人さんをパシッと叩いたのですぅ……ぶるぶる。
「あ、みゅーさん、みゅーさんでしょう? それに、ネズさんもいる」
赤い帽子の小人さんが、みゅーさんの手を取ってはしゃいでいます。
「みゅっ?」
「ちゅ?」
「コルネラ姉さんの弟のアクですよ」
「みゅみゅっ。アク、帽子被っちぇちゃかりゃ、良くお顔が見えなかっちゃ」
親玉さんの子供さんでちゅー。
「誰がって、特定されないように、みんな帽子を被るんだよ」
「うみょー! しょうなの?」
みゅーさんも興奮しています。
「みゅみゅっ! しょりぇぢぇ、ノーシャシュを見なかっちゃ?」
「父さん達が出掛けたのは、みゅーさんのところに行ったからなんだね」
「うみゅ」
「兄弟達も探しているけど、さっき会った仲間が、数日前に教会辺りでノーサスに会って、伝言を頼まれたって言ってきたんだ」
「ホホゥ、で、何を話したのだ?」
青い帽子の小人さんの後ろに黄色の帽子の小人さんが隠れてこっちを見ています。
「竜王様?」
「白銀王様ぢゃよ」
「「ヒョオ!」」
青と黄色の帽子の小人さんは、ピョインと高く飛び上がりました。
「それで、何と?」
「ハイーッ!」
青い帽子の小人さんは、緊張して変な声になってまちゅー。
小さくても、とっても威厳があるので怖いでちゅー。
「海の儀式を見たら、一度帰ると言ったそうですー!」
「ホゥ、海の儀式とな」
「……」
「誰か詳しく知っている者はおるのか?」
「あ、あ、あぇ」
黄色の帽子の小人さんも変な声を出してます。
「なんだ?」
「ヒョオ」
「みゅっ、竜の王様に恐がっちぇいりゅかりゃ、みゅーが聞いちぇみりゅね」
これでやっと話しがわかったんです。
黄色の帽子の小人さんが、何日か前にお仕事していたお家から帰る時に目撃したそうです。
「腰を痛めたじいさんの代わりに棚を掃除してやってたんだ。オレ、まだ見習いだからさ、朝までかかっちゃってテヘヘ。そんで、帰ろうと屋根まで出たら、二つに割れた杖を持った人達が、何かを担いで海の方に歩いて行ったのを見たんだよ」
「そんな事をする人を今まで見た事ないなあ」
「アオも知りません」
「フム、海か」
みゅーさんも私も、何だか良くわかりませんでした。




