3日続く
「うみゅ! こっち、来ないぢぇ!」
このところのみゅーには、困った事がある。
それは……。
◇◆
みゅーは、夕方、日の傾く方角を地面に書いて、更に木の棒を置いて、方向を決めていた。
翌日、その方向にある大きな木や、岩、花等を目指して歩くのだ。
今現在、みゅーが歩いているのは、ランダル領の入り口から外れた、スカラル領近くの草原だ。
目印確認で、上空を見ていたみゅーは、あれから、青い空に真っ赤な鳥を目撃するようになった。
「みゅみゅっ! こないぢゃの鳥しゃんなの!」
必死に、草の影に隠れていたのだが、向こうは、視力の良い鳥類の魔物。
如何に、みゅーが小さいとて、見逃す筈もなく、あれから、毎日見張られている。
「なんぢぇなの~? みゅー食べちぇも、美味しゅくないのにぃ」
みゅーは、ぷくぷくほっぺをぷうと脹らませていた。
また、日が傾き始めたので、そろそろ今日も終わりにしようと、思った時に「リーンリンリン」と、花飾りが鳴ったのだ。
「また、来ちゃの! パラリンみゅみゅ~」
ガルーダは、一度前方に降り立ってから、歩いて近づくので、みゅーは、素早く眠りの粉を撒く。
すると、そのまま横に、バササと倒れるのだ。
今日で、こんな事が3日続いている。
兎に角、日が沈む前に方角を書いてしまわないと、明日進む事が出来なくなってしまう。
急いで目印をつけて、それから、家を出した。
「早く、家に入りゃなくちゃ」
不思議な事に、家に入ると、煩かったガルーダのイビキは、ほとんど聞こえなくなった。
そして、明日の朝には、ガルーダは、もう家の前にはいないのだ。
「もう、しちゅこい(しつこい)の! はふっ、今日も疲れちゃ……」
◇◆
みゅーは、夜、勉強していた。どうしてかと言うと、アサトがくれたバックには、紙や色が着く塊、お手紙道具一式が入っていたからだ。
アサトに教えてもらった、文字の練習をして、今日見た綺麗な花を思い出したりして、紙に書き写したりしている。
「いつか、アシャトに、お手紙書くんぢゃから、もっと頑張りゃないちょ」
どうみても、子供のイタズラがきにしか見えないが……それでも、アサトは貰ったら、感動するのだろう。