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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
不思議な赤ちゃん編
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脳内お花畑

 その日の夕食を、いつになく簡単に作ったデイジー達。


 いつもなら、学校であった話しをハイエルフの子供達がして、他の子供達が楽しそうに聞いてから寝る支度をするのに、ロリエンなどは夕食も食べずに帰ってしまった。

 

 そう、子供達も大人も早々に部屋に戻ってしまったのだ。


 「アシャト、みゅーもネジュちゃんと寝りゅね」


 そう言って、どう言う訳かみゅーちゃんのドームハウスの方に入って籠ってしまった。


 「みんなどうしちゃったんだ? 赤ちゃんの夜泣きでも、警戒したのかな?」


 と、相変わらずの能天気さ。


 「アサト様、フィンディアル様のお帰りです。私は、これからスフィナをお風呂に入れますので、ご容赦下さい」


 「うん、わかった」


 家令のレスターが、逃げるように行ってしまった事にも気付かずに、赤ちゃんを抱えたままフィンディアルを出迎えに玄関で待っていた。


 「アサト、ただい……」


 「お帰りフィン」


 赤ちゃんを抱っこしている反対の腕で抱きついたアサト。


 「これが、連絡のあった子供ですか?」

 

 「うん、そうだよ。可愛いだろう?」


 「人族と聞きましたが、獣人族だったのですね?」


 「えっ? 確認したけど、尻尾はついていなかったよ?」


 それで、ピンときたフィンディアル。


 「アサト、鑑定しましたか?」


 「鑑定? してないよ。だって赤ちゃんだよ?」


 「僕には獣人に見えますが?」


 そう言えば、フィンのステータスに『全てが見える者』とか言う称号があったな……と思い出したアサト。


 そうして鑑定してみれば……!


 【テュロス〈楽の精霊〉:半人半獣〈豹〉なので、寿命がある。歓喜溢れる土地に、たまに生まれることがある】


 「フィンさん。大変だ! 生まれたての精霊だって」


 「……」


 「ごめん、てっきり赤ちゃんだから、ルビが勝手に連れて来たと思っちゃったんだよ」


 「捜索を中止して、ユニーにでも頼んだ方がいいですね」


 ため息をつきながら、方針の変更を決めたフィンディアル。


 「えーっ、しばらく家で預かろうよ」


 「……」


 「この子さあ、金髪だしそれに、瞳に黒色が入っているんだよ。俺達に……似てないか?」


 チラッと赤くなりながら上目遣いされたが、フィンディアルは頷く事が出来ずにこう言った。


 「アサト、お腹が空きました」


 スルーされてしまったが、反対はされなかったなと、素直に夕食を温めて用意したアサトだった。


 周囲が危惧していたような揉め事も起こらず、静かな食事を二人はしていた……表面上は。


 では、フィンディアルの心の中を覗いてみよう。


 アサトの優しくて可愛いらしい笑顔が見れるのは幸せだと思う。


 だがしかし! 向けていいのは僕だけだ!


 何としてもユニーに引き取ってもらうぞ!


 そして……。


 アサトの心の中はと言うと。


 可愛いなあ。

 まだ、産着もオムツも必要だよなあ。

 よだれ掛けや、遊び道具もいるなぁ。


 そうだ! 産着は、怪獣のフード付きにしよう。

 愛嬌のある顔だから、きっと似合うぞ。

 ああ、それより名前をどうしようか。


 不用意につけたら大変だから、テュロスから取ってローちゃんって呼べばいいかなぁ。


 と、脳内お花畑が続いていた。

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