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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
ハムタック編
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メテル

 王都に住むアサトがランダル護衛隊のダルタンから連絡をもらったのは、皆で夕食を摂ろうと準備をしているところだった。


 「アサト様! ダルタンから急ぎの連絡です」


 執事のレスターから手渡された手紙には、赤いラインが引かれていた。


 赤は急ぎで判断を仰ぐもの。青は急いではいないが重要なもの。


 アサトは、手伝ってくれているデイジーに後を任せて、それを持って二階の居間に戻ってから開封した。




 「ハム太がこっちに向かってるって! レスター君、もうすぐフィンが帰って来るからこれを渡して。それから、王宮にも報告してね」


 ガルーダが王都に遊びに来て、こってり怒られたアサトは必ず王宮に連絡を入れていたのだ。


 「それでアサト様はどうされるのですか?」


 「俺はちょっと先に迎えに……」


 レスターの鋭い睨みにアサトはタジタジだ。


 「迎えには何で行かれるおつもりです?」


 「メテルに頼もうかと……」


 注:メテルとは、シャウロックの若木の魔物でアサトの獣魔である。


 「早くしないと、間違って傷つけられるかもしれないでしょう? 頼むよレスター君」


 アサトは、心ここに在らずと言う感じだ。


 「こんな時に限って、フィンディアル様の帰りが遅いのですから、仕方ないですね」


 『みゅーちゃんの失踪事件があってから、レスター君も話しがわかるようになったなあ』


 などと考えながら、アサトは庭にいるメテルを呼んで乗り込み、いつものカバーをかけずに飛び出したのだった。


 「メテル、ランダル領に向かってくれる? 魔天竺鼠(ジャンガルバラ)のハム太を探したいんだ」


 「(あるじ)、すぐに向かいますね」


 「頼むよメテル。俺心配で……」


 「お任せ下さい主」


 優しいメテルに少し癒されたアサトは、早くハム太を保護しようと気合いを入れたのだった。 

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