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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
ハムタック編
60/97

落ちてきたモノ

 「チュッチュゥー~」


 モヒー~ッ! モヒッモヒッ!


 《激走中》






 「モヒッ?」


 疲れてきたじょ。モヒッ? ここはどこじゃろ?


 キョロッ、キョロッ。


 ガラガラガラ、ゴロゴロゴロ。


 モヒッ、あれは人が乗る箱じゃろ。


 よけよけ。おいはちゃんと道の端っこに寄ったじょ。


 おいを横目に急いで走らせて行ったじょ。


 モヒモヒ。おいのお行儀良さに驚いたんじゃろか?


 いい気分になったおいは、尻尾をぐるんぐるん回したんだじょ。


 「チュー」


 ポスン。


 あ、何かおいの尻尾から……。


 「モヒーッ!」


 もしや、おいの尻尾が千切れたんじゃろか!


 草むらに鼻面を突っ込んで探したじょー。


 おいのおいの尻尾。


 あれがなくては、あの者がガッカリするかもしれないじょ。


 最後に別れた時も、おいのこの尻尾に頬擦りしてくれたんだじょ。


 それがなかったら、おいのことわからないかも知れんじゃろ。


 「モヒモヒモヒ」


 「ウチュー」


 ん? そう言えばさっきからチューチュー聞こえていたじゃろか?


 尻尾が飛んだと思った辺りには、真っ白い腹の膨れたネズミが目を回していたじょ。


 ああ、何かおいの上に落ちてきたのはコレじゃろか?


 両手で持って鼻息をかけたじょ。


 「ん……」


 「起きないじょ。おいの頬袋にでも入れておいてやった方がいいじゃろか」


 「チュー! 起きてます。起きてますから食べないで下さい」


 涙目で震えられると、何か良からぬ気持ちが湧きそうになったじょ。


 モキュモキュモキュ。(頬を揉む音)


 おいは、ネズミを下ろしてから頬を揉んだじょ。


 「おいは、草とか種とかしか食べないじょ。んっ? あの者は、美味しい肉を食べさせてくれたじゃろが。忘れていたじょ」


 テシテシテシ。


 ビクッとしたネズミ。


 しばらくの間、お互いに探りあっていたんだじょ。


 「モヒッ! おいは、あの者に会いに行く、違う違う。苦情を言いに行くんじゃろが」


 行こうとするおいに小さな声がしたじょ。


 「あの……」


 「モヒッ?」


 フルフル。


 また、行こうとすると今度ははっきりと話したじょ。


 「あの、アサト様に会いに行くのですか?」


 「モヒッ。勘違いしたら駄目だじょ。おいは、苦情を言いに行くんだ。あ、もしや、苦情を言いにきた仲間じゃろか」


 「苦情? いえ、アサト様と一緒に住んでいるみゅーさんに会いに行きたいんです」


 「あの者に用事ではないんじゃろか」


 「あ、はい。でも、お訪ねするのはアサト様のお家です」


 「モヒモヒ。じゃあ、同じじゃろ」


 「はい」


 おいが、行こうとするとまた話し始めたじょ。


 「あの! お願いがあります」


 「モヒッ、おいにお願い?」


 「はい」


 何じゃろかと待っていたじょ。


 「あの、一緒に連れて行ってもらえませんか?」


 「モヒモヒ、一緒にじゃろか?」


 おいは、それを聞いて仲間のトラジタの事を想ったじょ。


 いったいどこに行ってしまったんじゃろか……。 


 挿絵(By みてみん)

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