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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
ハムタック編
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異変

 すっかり寂しくなってしまったランダルの街。


 何気ない日常に、突然現れた黒髪の妖精アサト。


 ランダル山を管理する元A級冒険者のグラドが養い親になっている。


 そのアサトが不思議な "ショップ" や "カフェ" を経営していた頃は、隣国や各領から商人が訪れてランダルの街は、かつてないほどの賑わいをみせていた。


 それから、領主の息子のアイドル的存在のフィンディアルが、王国始まって以来の竜騎士に任命されたのだ。


 しかも、隣国のワイバーン乗りとは違い、正真正銘の雷竜ルビを従えている。


 ランダル街の領民は、どれ程誇らしかった事か言葉には言い表せない程なのだ。


 その人気のスイートフェアリー(アサト)とプリティープリンス(フィンディアル)が、身分差をものともせずに結婚して新居を王都に移してしまった事で、ランダルの街は徐々に色を無くしていった。




 テチテチテチ。


 クカクカ。この甘い匂いはあの者と同じじゃろ。


 モヒヒ? 二本足で立つ生き物がおらんじょ?


 人がまばらな通りを歩きアサトを探す。


 あったじょ。


 アサトのショップは、店の中が覗けるように一部透明な壁で出来ている。


 その透明な壁にテチテチテチと近付き、ペタリと紅葉のような両手を当てて、二本の前歯をモヒモヒと動かしてみせた。


 モヒ? 動く者がおらんじょ?


 テシテシテシしてみる。


 モヒ?


 テシテシテシテシテシテシ。


 「おい! お前そこで何してやがる」


 モヒ! 後ろに二本足がいたじょ。気づかなかったじょ。


 「モヒモヒ」


 おいは、振り返ってあの者の行方を訊いたじょ。


 「あ、お前は、獣魔術師んとこの獣魔じゃねぇか。アサトが来てんのか?」


 テシテシ。


 違うじゃろ。おいがそれを訊いているじゃろに。


 「モヒー!」


 つい、前歯を剥き出してしまったじゃろ。


 「怒んなよ。意外に気性が荒えんだな」


 そいつは、おいが張り付いた壁を叩いて、「おーい! アサト来てんのか? グラドだ。ちょっと出て来てくんねえか?」と言ったじょ。

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