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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
ハムタック編
55/97

ハムタック君の逃走記

 「わしゃもう駄目じゃ」


 「モヒモヒ」


 先日とうとう、黄色と黒色の縞模様が自慢の相棒が売られた。


 「あ~あ、あの美少女が来なくなったからだよ」


 「モヒヒ?」


 『いや違うじゃろ。マスターが酒浸りだからじゃろ』と不満を伝えてみるハムタック。




 そもそもは、そこそこギルドで移送の仕事をしていた獣魔術師だったのだ。だがある時、黒髪の美しい少女が訪れた事から転落の一途を辿る事になった。


 『おいは、魔天竺鼠(ジャンガルバラ)という魔物なんだじょ』




 ~ここからは、ハムタックでお送りします。~




 確かにあの者は、おいもよろめくぐらい良い男なんじゃろが。


 テシテシテシ。


 しかし、マスターには怠惰をもたらした者でもあるのじゃろ。


 テシテシテシ。(前肢で叩く音)


 その晩も呑み仲間(たかり)のジジイがやって来て、倒れていたマスターを発見して教会に連れて行ったじょ。


 それから戻ってきて、おいも何処かに連れて行こうとしたじょ。


 「お前もまともに喰わせてもらっとらんじゃろ? オレがいいところに紹介しちゃるから、大人しくしとけよ」


 ゲヒヒと酒臭い息をかけたから、鼻息で吹いてやったじょ。


 「うぎゃー! 喰わんでくれー~」


 よくわからんが、驚いて逃げたじょ。根性がないジジイだ。


 檻から出されて清清したから、そうだじょ! あの者に苦情を言わんと駄目じゃろ。


 テシテシテシ。


 決して、白くて柔らかい手で優しく撫でてもらいたいからじゃないじょ。


 芳ばしい木の実や種をくれるからじゃないんだじょ。


 テシテシテシ。


 あの者は人気者で、皆が集まるあそこに行けばいるじゃろ。


 おいは、何度も行っているから知っているじょ。


 ハムタックは、ミミズ尻尾をぐるんぐるん回して向かったのだ。




 そこにはとうに、居ない事を知らずに。 

 挿絵(By みてみん)

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