決着 2
「貴方がフォックスさんなら、良心はいたまないよ」
「そうですか。だが、私はあなたを許さない」
「どうしてですか?」
「フォックス商会の商売人が、何十人と路頭に迷いましたよ」
「それは……」
『優しいアサトが、責任を感じてしまっている!』
シュンとしてしまったアサトを支えていた腕に、力を込めるフィン。
「自分が利用した親子の親を、平然と見殺しにして、更に、利用価値がないと自分で判断して放置していた子供を、アサトが救済して、能力を引き出してあげたのです。誰が聞いても、偽物紳士のお前が、無慈悲で無能だとわかるだろう」
「フィン」
アサトは、頼りになる旦那の胸に顔を埋めた。
「フンッ」
そこに、やっと、フィンの部下達が到着して、二人は連行されて行った。
こんな時だが、素直に甘えてくれるアサトに、フィンはドキドキしていたのだ。
可愛いアサトと離れたくなくて、フィンは、送ってくると部下に伝えたのだった。
結局、みゅーの行方は掴めなかった。
この事件の後始末に追われる二人。
アサトは、フォックス商会の建て直しとして、勉強したい若者や、資金を必要とする方達の為に創った団体で、働いてもらうのはどうかと提案したのだ。
勿論、フィンのお父様の優秀な執事に相談してからだが、資金提供はアサトがしているので、問題ない。(元は、アサトが作ったショップとカフェの売り上げ金の一割)
それを、フィンがフォックスに伝えた事から、みゅーの行方にかかわる解決の糸口が見えてきたのだ。
「部下が矢を射た時に、燃えるような羽をした魔物を見たと言っていた」
そう、フォックスが伝えてきたのだ。
これを聞いたアサトは、ガルーダに違いないとすぐにピンときた。
「デルタ君の話しだと、みゅーちゃんを守ってくれていたみたいだからね」
「では、ルビと探しに行ってきます」
フィンは、そう言ってくれたが、アサトは、竜の白銀王と行ってくるからと返したのだった。




