訪問
「うっうん!」
執事に咳払いされて、ハッとしたデルタ。
「みゅーに、会いに来られたと聞きましたが、何処で会ったんですか?」
「私が、無茶をして、山で死を覚悟していた時です」
いきなりディープな話しで、改めてデルタと言う青年を観察したアサト。
ちょっと、押しが弱そうな、この大陸人特有の茶髪茶目をしている。
雰囲気からして若く見えるけど、25才前後かな? どちらにしても、人が良さそうな青年だ。
その青年が、死を覚悟するなんて、いったい何が?
「すみません、急にこんな事言われたら、驚きますよね。ちょっと話しが長くなってしまいますが、順をおってお話ししますね。お体がキツイようでしたら、すぐに教えて下さい」
青年は、突然飛んできたみゅーに、助けてもらった話しをした。
それで、小人の親玉が言っていた一緒に行動していた人族が、この青年だとわかったのだ。
「そうでしたか。色々とお話しが聴けて、みゅーが頑張っていた事がわかりました。ありがとうございます」
「いえ、お礼を言いたいのは、こちらです。みゅーさんは、どちらに?」
レスター君と目配せする。
「実はですね……」
レスター君が事情を説明すると、「まさか……」と言ったのだ。
ノームのノーサスも、誰かに追われていたと言っていたから、心当たりがあるのか訊いてみる。
そこから、怪しげな二人組が浮かび上がってきた。
急いでフィンに連絡してもらい、捜査してくれるようにお願いした。
すると、まるでタイミングを見計らったように、脅迫状が届いたのだ。
それは、アサト宛てで、「お前のノームは、預かっている。返して欲しくば、映像の魔道具の魔方陣と設計図を持って来い。山の山頂の火口ぐちから、少し離れたところに色のついた岩がある。そこで、アサト独りで三日後の夕暮れ時まで待て」
そう、書いてあった。




