ガルーダ再び
シュン。
クイナが妖精の国を出て、国境の山を越えようとした時に起こった出来事。
それは、クイナの左羽を確実に射抜いていた。
浮かれていたみゅーは、その衝撃で一番最初に落ちて、強風に巻き上げられ翻弄され、そして、落下。
頭を強く打って倒れた。
一方、クイナにしがみついていたノーサスは、クイナごと燃えるような羽の魔物に助けられていた。
それから、下に降ろしてくれたが、驚いてすぐに飛び立ってしまい、お礼を言い忘れたと思ったノーサス。
ガルーダは、みゅーを助けたつもりが、肝心のみゅーがいない事に気づいて、慌てて戻って探していたのだ。
山の上は、木も草も生えない砂利だらけだから、花色の服を着たみゅーは、小さくてもすぐにわかった。
ガルーダは、みゅーを自分の住みかに連れて行き、気が付くのを待った。
その後、ノームも小人も妖精の者達も、協力して探してくれたが、みゅーの足取りは、わからなかったのだ。
シャダイン王国側では、ルビもフィンもアサトの養い親のグラドも探したが、手懸かりが一つもなくて、アサトは落胆して寝込んでしまった。
ちょうど、みゅーから、可愛らしい手の跡や鼻の跡がついた手紙を受け取っていたから、尚更こたえたのだ。
「みゅーちゃん、いったい何処に……」
この時、アサトは、大切な者全員の髪の毛を集めようと決心するのだが、実行するのはずっと後になる。
そうして、手懸かりがないまま、一週間が過ぎていた。
そんなある日。
執事のレスター君が、アサト様にお会いしたいと、若い男が訪ねてきたと伝えた。
普段なら門前払いだが、聞けば、みゅーに会いに来たと最初に言ったそうだ。
すぐに、許可を出して、皆がいる食堂に通された。
フィンディアルの屋敷内は、アサトが作った為に、色々とぶっ飛んでいて、その若者も、珍しさに気持ちを持っていかれていたが、ふらつくアサトを目の当たりにして、気持ちを切り替えたようだった。
「起き上がったりされて、大丈夫なのですか?」
「みっともないところをすみません」
そう言って、弱々しく笑ったアサトに、みとれたデルタだった。




