女神セイナンシェ
女神のセイナンシェは、気になるアサトが居る、この小さな大陸の上に連絡口を開いていた。
聖獣のユニコーンのユニーからしたら、二度目の訪問になる。
一度目は、愛しい乙女のシャリエットが生んだ、美しい男の子フィンディアルの為だ。
儚い命のフィンディアルを救ってくれたのは、他でもない、今は、結婚して奥方となったアサトである。
まさか、あの穢れないフィンディアルが、アサトの為に、非情な男に成長するとは想像もしていなかったユニーだった。
「でも、私が合わせたのですから、仕方のないことです」
清廉潔白なユニーには、いまだに、フィンディアルの変化が好ましく思えず、足も遠退いていたのである。
「女神セイナンシェ様。ユニーです」
すると、少しだけ変化した空間。
ユニーは、次元の隙間に飛び込んだ。
「あら、いらっしゃい。ユニー、久しぶりですわね」
「ご無沙汰しております。更に、神々しくおなりになられて、おめでとうございます」
「まあ、わかるかしら? 実はね、この辺りを治める大神様から、ご褒美をいただいたのよ」
「それはそれは、喜ばしいことでございます」
「あら、アサトの事が、まだ気に入らないの?」
「……」
「光りには、影がつきものよ。貴女にだって、やんちゃなペガー(ペガサス)がいるでしょう?」
「……」
「まあいいわ。それで、ノーミュになってしまったみゅーの相談ね?」
「御意」
「知らなかったとは言え、アサトがアイテムボックスに入れてしまって、黒卵の防衛本能が働いて変化してしまったのよ。ですから、こうする事にしました」
ユニーが、穢れない瞳を向けると、女神は、その前に小瓶に入った特別な種を出して見せた。
「これを、貴女に授けるわね」
女神は、イタズラっぽく笑う。
「このまま飲ませても良いし、みゅーに渡してまうのでもかまいません。ユニー、貴女が判断するといいわ」
ユニーには、女神が何故、自分に委ねるのかがわからなかった。




