待っている間
「ところで、みゅーちゃんは、男になりたいのか女になりたいのか、どちらかに決めてありまちゅか?」
妖精女王は、肝心な事を訊いていなかった事を思い出した。
「うふふ。みゅーは、いつまぢぇ(で)もアシャトの可愛いみゅーぢぇいちゃい(でいたい)の。ぢゃ(だ)から、まぢゃ(だ)決めちゃ(た)くないの。ぢゃめぢぇしゅ(駄目です)か?」
「まあ、本当に愛らしいこと」
プニプニと、みゅーの頬を突っつく女王。
「アスベル、アスベルゥ、ぽっくんの頬にはしてくれないの?」
短い足をプラプラさせた王様は、女王に向かって手を広げていた。
「まあ、オルチャンたら、貴方が一番に決まっているでしょう?」
女王は、小さな王様を軽々抱き上げて、骨も砕けよと抱き締める。
ボキボキ。
「キャーーッ! 痛いよ痛いよー」
「あら、ごめんなさいまし。私ったら、貴方への愛が強すぎてしまいましたわ」
メソメソ泣いた王様は、女王の腕から逃れて、飛んで行ってしまった。
「オルチャン待って下さい」
と、女王も飛んで追いかける。
ノーサスは、いつも女王が追いかけている理由が、これなんだと分かったが、別に知りたくもなかった事だと思い、ため息が出た。
みゅーは、置いていかれてしまい、どうしたらいいのか困っていたが、これが終われば、アサトのところに帰れるからと、嬉しくて浮かれて、トテトテとスキップをして尻餅をついていた。
「アシャトが時々しちぇいりゅシュキップは、難しいね」
そうだ! アサトに今まで書いた落書きじゃなくて、手紙や絵を送ってもらえないか訊いてみよう。
思い立ったみゅーは、鞄から取り出して、整理をしたのだ。
「それは何?」
と、ノーサスが訊いてきたが、どれを送るか真剣に選んでいたみゅーには聞こえていなくて、ノーサスは、勝手にそれらを手に取って眺めたのだ。
「変わった模様だ」
「しょりぇは、お花しゃん」
「そうか、すまない」
「こっちのお花も見せちゃいから、どうしようかなあ」
ノーサスには、ペタペタついている、みゅーの手の跡や、鼻先、まあるい頬っぺたの跡の方が面白くて、それがいいと勧めてやった。
「ノーシャス、ありがとう」
素直なみゅーは、どうやら、それに決めたようだ。




