儀式
「この子、黒卵のときに、時空間に入れられたみたーい。それで、影響を受けて時間を操るノーミュになったんだねー」
アハハ。
この時ばかりは、耳を大きくして聴いていたノーサス。
「時空間って、何ですか?」
「おや? ノーサス、大切な儀式の邪魔をするとは、感心せんな」
「わかってます。しかし、知りたいのです。同じ仲間に、こんな特別があったら、今後の為にも知っておくべきだと思ったんです」
「ふん、相変わらずですわね」
ダミ声で言った女王は、続いて、高い声を無理に出して訊いた。
「みゅーちゃんは、ノーサスが居てもかまわぬかあ?」
「うみゅ。ノーシャスは、ずっと協力しちぇくりぇちゃ(てくれた)から、かまわないよ」
「そうでちゅか、そうでちゅか」
デレーンと、女王の目尻が下がった。
「アスベル、アスベルゥ、もう、アイスを食べに行ってもいーい?」
女王は、正気に戻った。
本来、ノームの幼精が来たら、男と女のどちらを選ぶのか選択してもらい、男なら、土の妖精の種を渡し、女なら、緑の妖精の種を渡して飲んでもらえば、自ずと真名を授かるのだが、すでに、時間の幼精であるみゅーは、どうすればいいのだろう?
「まだよ。少しは、我慢なさい!」
ピシャリと言われた王様は、服を弄ってイジけている。
そして、今まで黙っていたユニコーンが口を開いた。
「アサトに関わる者は、皆、変えられてしまいますね……女神様は、どう、お考えなのでしょう?」
「ユニー、セイナンシェ様にお伺いして下さる?」
「そうね。仕方ないわ。少し時間をいただくわね」
そう言い残して、瞬く間に天に駆け昇って行く。
みゅーは、どうなるのかと不安になっていたが、ノーサスは、やはり、初めての事が起こったのだ! と、興奮を隠せないでいた。




