みゅーの能力の秘密
お日様みたいに、ピカピカ光った丸い輝きが二つ、追いかけっこをしているみたいにバビュンとやってきた。
「ちょっと、あーた! 待ちなさい!」
「やだやだやめてーぇ」
一瞬目を逸らしてから、ユニコーンは、声を掛けるのだった。
「アスベルラ、オルチャン王が何をしたか知りたくありませんが、幼精が参ったわ」
「あらそう。このぷっくらしたノームがそうかい?」
みゅーは、聞いた事ない地の底から響くような女王の声に、デカ目がさらに開いた。
しかも、アサトのところに来ていた、アラカルト商会の力持ちの男の人に、よく似た体型をしている。
それから、王と呼ばれたオルチャンは、つぶらな瞳のアサトみたいな、若い感じのする妖精だった。
アサトが居たら、チワワに似ていると表現したろう。
「はじめましちぇ。みゅーでしゅ」
それでも、ニコニコ挨拶が出来た。
「ほぉー、このアタシを見ても怯まないとは、見上げた根性だ」
女王は、どうしてか、逆にブルブル震えていたが、とうとう我慢できずに、みゅーのぷくふく頬っぺに人差し指を埋めた。
「うふふ」
キューン。
ユニコーンは、また、女王の悪い病気が出たと思い、遠い目になった。
『フィンディアルに頼まれましたが、困ったことになりそうだわ』
「アスベル、アスベルゥ、ルビちゃんが分けてくれた、アイスを食べに行ってもいーい?」
キュルンと濡れた瞳が、庇護欲をそそる。
「あーた、お仕事が先よ」
チラッとみゅーを見て、モジモジしてから頷いた。
ノーサスは、全く興味がないみたいで、ソッポを向いている。
「こちらに来るといい」
女王に手を繋がれて、みゅーは、森の奥深くに入っていった。
そこには、魔獣刺熊の巣があった。
「みゅみゅみゅっ! 魔物がいりゅ!」
「驚くことはない。これは、わらわ達に美味しい蜜を貢いでくれるからのう」
素直なみゅーは、ああ、それで、山で遭遇した時襲ってこなかったのか。と納得した。
色とりどりの花に囲まれた森の最奥には、蔦で出来た椅子が二つだけあって、そこに、女王様に座らせてもらった王と、女王が座った。
「あーた、早くしなさい」
「う、うん。わかってるよ」
小さな花の冠の位置をなおしてもらった王は、せっかく座らせてもらった椅子から、ウンショと降りると、みゅーの前に立った。
知らない言葉を話したかと思ったら、みゅーは、自分の頭が少しボンヤリしたのだ。
「アスベル、アスベルゥ、わかったよお」
跳び跳ねて行けば、女王がまた、椅子に座らせてあげていた。
「あの子はね……」




