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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
みゅーちゃん編
4/97

一人ポツンと

 「みゃあ~、良く寝ちゃ。ん? みゅみゅっ!」


 リーンリンリン


 ウォー~ン


 辺りは真っ暗で、虫や魔物の声が近くから聴こえる。


 「みゅーっ!」


 ガタガタ煩かった馬車は何処にもなく、風が草の濃い緑の臭いを運んできた。


 どうして、地面の上にポツンといるのか、それよりも何よりも、心細さに震えが止まらない。


 そんな時やっぱり思い浮かぶのは……。


 「うえっ、うむゅ、アシャ……ト」


 会いたくて寂しくて、一人泣いていたみゅーに、タッタッタッタ、ハッハッハッと、大きな獣の気配が近づいていた。


 「どうしちゃら……(どうしたら)」


 みゅーは、モコふわの布にすがりたくなって、思い出したのが、バックに入っている家だった。


 何も考えずに、家の中に入って、ハンモックに載った。


 いつもの、モコふわの布に包まれたら、それだけで、凄く安心してしまったのだ。


 ◇◆


 静かになった外。


 実は、これには理由があって、この家にはアサトが育てた竜の臭いが、タップリとすりこまれている。


 なので、先程の魔物は、みゅーがこの家を出した途端に、驚いて逃げ帰ってしまっていた。


 みゅーは、ふくふくのほっぺを、モコふわ布にすりすりと擦り付けて、ご機嫌だ。


 「みゅーみゅー。安心しちゃりゃ、お腹しゅいちゃの」


 みゅーが、ハンモックから下りると、すぐそばに紐が下がっていたので、何だろうと思って引っ張ってみる。


 パチッと明かりが灯り、部屋の中が明るくなった。


 「みゅみゅっ、灯りでしちゃ(灯りでした)」


 明るくなった部屋の中を見回せば、屋敷にあった冷庫を発見した。


 「アシャトが、良く食べ物を出しちぇいちゃ箱ぢゃ」


 真っ白い箱を開ければ、瞳がキラキラに!


 中にはプリンやサンドパン、果実水等が沢山入っていたからだ。


 「みゅー」


 テーブルにも運ばずに、その前で夢中で食べてしまう。


 「おいちぃ」


 しかし、いつしか夢中で食べていた手が止まり……。


 「ボッチは、しゃみしぃ……」


 本来なら仲間と過ごし、妖精の心構え等を教えてもらい、自立を促されるのだが、みゅーは、竜騎士の屋敷で愛されて育ったので、人間くさく育ってしまったのだ。


 それでも、涙を堪えてきちんと片付けて、朝まで眠ったのでした。

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