妖精の国
飛竜の巡回で、空の平和が保たれているカーリング皇国。
クイナは、強い風の隙間を縫って進んでくれたのだ。
キラキラと光り輝くクリスタルのお城。
「みゅみゅー。アシャトが言っちゃ通り、綺麗なの」
みゅーも、やっぱり、光り物が好きなのだ。
「みゅー、これから下がるから、しっかり掴まってなさいよ」
クイナさんに注意されて、首にすがりついた。
そして、何かを通った後からは、穏やかな風になっていた。
「もういいよ。ここから、妖精の国だから」
顔をあげたみゅーは、喜んだ。
「みゅみゅみゅっ! 色々な妖精しゃんや、聖獣しゃんが沢山いりゅー」
すると、眉間に一本の角のある、真っ白な大きな聖獣が近づいてきた。
「フィンディアルのところから参った幼精ですね?」
「うみゅ? ふい……この、呼びにくいお名前は、アシャトの旦那様ぢゃ」
「うふふ。確かにそうですね。ですが、そなたの事を心配して、私に連絡を入れてきたのですよ」
「うみょ!」
「まあ、フィンディアルは、人見知りが激しい子ですから、そなたが驚くのも無理はありませんね」
みゅーの記憶では、フィンディアルは、恐い印象だし、会話をしたこともなかったのだ。
クイナが降りた所は、森の広場のようで、妖精王が何処に居るのかわからなかった。
「森の守り神のユニコーン様。ノーサスです」
先に降りて、聖獣に挨拶をしている。
「ユニコーン様?」
「まあ、ノーサス、何ゆえ一緒に参ったのです?」
「お許し下さい。どうしても、知りたかったのです」
「まあ、そなたも、変わらないものですね」
ユニコーンは、困ったように見えた。
「クイナ。ご苦労様です」
「クックルウ」
ユニコーンに挨拶をして、そのまま何処かに飛んで行った。
「みゅっ、妖精王様にお会いしたいのでしゅ」
「あら、何処に行ったのかしら……妖精は気紛れで困るわ」




