利用
「やはり、妖精の国を目指すのか」
「うみゅ。色々知りちゃいけど、試練を乗り越えないちょ落ち着かないの」
「そうだな。先日みたいに、人族に襲われるかもしれないからな」
「みゅみゅっ。ぢぇも、みゅーを捕まえちぇ(て)ぢょうしゅりゅ(どうする)のかな?」
「女神と竜への信仰の厚い国だぞ? しかも、こちらでは、小人達が頻繁に出没している。言うなれば、妖精も普通に暮らしているんだぞ。それで、襲うとすれば、明確な理由があるんだろう」
「ヂェリュが、旅に戻しちぇくりぇちゃ(てくれた)から、教会の人か冒険者の人が用事がありゅのかな?」
「全く、今まで良く無事だったな。世間知らずもいいところだ!」
「みゅみゅっ」
「いいか、中には、お前を利用しようとする悪い奴だっているんだぞ?」
「利用……? ふみゅふみゅ」
その言葉を聞いて、ふと、お前を利用すると言われた事を思い出した。
「ガリューヂャ様は、悪い魔物なの?」
「ガルーダ……? ガルーダだって!」
ノーサスの驚きように、ビックリだ。
「ぢぇも、いつも助けちぇくりぇちゃ(てくれた)し、みゅーは、ガリューヂャ様に感謝しちぇりゅ(てる)」
「燃えるような羽をした、暴虐な魔物だぞ?」
「うみゅ。夕焼け色した格好いい鳥しゃんぢゃよ?」
ニコニコ話すみゅーを見て、まさか有り得ないと驚愕する。
それから、ノーサスの質問責めにあいながら、みゅーは、二人で山への出口に向かった。
山の崖付近にある、木のウロに繋がっていた坑道。
「みゅみゅー、お空ぁ」
テンテン跳ねて喜んだ。
「眩しい……お前は変わってるぞ。普通、ノームであれば、穴の中の方が居心地がいい筈だ?」
「ふみゅ? ぢぇも、アシャトは、一日一回は、お日様の光りを浴びようね。っちぇ(て)、みゅーに教えちぇくりぇちゃ(てくれた)よ?」
「神子様がそんな事を? では、やはり、お前は緑の妖精にでもなるのか?」
考え込むノーサス。
「お天気がいい日は、外のベランヂャ(ベランダ)ぢぇお食事しゅりゅの。みゅーは、茹ぢぇ玉子シャンヂョ(サンド)が大好きなの」
「茹で玉子……?」
「うみゅ。白いショーシュ(ソース)がとっちぇも美味しいよ」
「白いソース?」
また、ノーサスの質問責めが始まる。




