出会いと別れ
「このまま、みゅーに着いて行くことにした」
「えっ? でも、妖精の国には、一人で旅をしなければ、試練にならなくなってしまうわ」
「通常ならそう思うさ。だが、みゅーは、人を助けたり動物を助けたりしている。今だって、子ネズミが一緒だ」
「確かに、それはそうね」
「ああ。でも一番は、すでに能力を持っている事だ」
「そうね、時間を操るノームなんて初めて見たわ」
「性別なんて、恋すれば顕れるものだから、この先どうなるのかを知りたい。それから、神子様にお会いしたいんだ」
「貴方ときたら、知りたい事だらけね」
「ああ、そうだ。他に大切な相談もあるから、だから、当分帰って来ない」
ノーサスは、真剣な顔をしてコルネラを見詰めた。
「……そう。わかったわ」
寂しげな表情を浮かべて、無理して笑うコルネラだった。
◇◆
『最初に会っちゃ、怪しげな小人のおじしゃんが、みゅーに言うの』
「子ーネズミはー、置いて行きなされ」
「ぢぇも、食事が上手く採りぇないの」
「大丈夫ー。発育がー悪いだーけでー、問題なーいからー、ここに居ればーおじさんが仲良くすーるよ」
「ふみゅ。ネジュちゃんは、ぢょ(ど)うしちゃい?」
「みゅーさんが、妖精の国に行く邪魔はしたくないけど、私にも何か手伝える事がないかと思って……」
「みゅーは、ネジュちゃんが、元気になっちぇくりぇちゃら嬉しい」
「みゅーさん……」
子ネズミは、今の自分では、荷物にしかならない事がわかっていた。
それで、残って元気になったら、帰りには着いて行って、今度こそ役に立ってみせると決心した。
「では、ここで頑張ります。だから、気をつけて行ってきて下さい」
「うみゅ。しょりぇなりゃ、おじしゃんと仲良くね」
「はい」
旅とは、出会いと別れなのかと、寂しく思うみゅーだった。




