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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
みゅーちゃん編
32/97

湧き水の広場

 ここからだと、里の方が遠いことがわかって、帰りに寄る事にした。


 「ノーシャス、噺鳥(はなしどり)しゃんは置いてきちゃの?」


 「さっきまで一緒だったさ。多分、コルネラの所に行ってる」


 「しょう」


 「今日は、この先の地下水の湧き水が出ている場所で、休むとしよう」


 「うみゅ」


 ◇◆


 水があるところには、様々な小動物が集まっていた。


 「みゅみゅみゅっなの! ふわふわ、モフモフが一杯」


 子供みたいに、興奮している。


 色の薄いのや縞模様したモフモフ達が、追いかけっこしたり、ふわふわの塊が丸まって寝ていたり、夢の光景が広がっていた。


 みゅーも、縞の尻尾を追いかけて、すっかり溶け込んでいる。


 ノーサスは、みずを飲んでから、隅に倒れている子ネズミに近づいた。


 他のネズミに比べると、体つきが小さく発育が悪い様子だ。


 息も細い。


 水を葉にくんでやれば、飲んでいる。


 「お腹すいてるんだな」


 ノーサスは、木の実しか持っておらず、こんな場所では、煮炊きもできない。


 そこから、また少し離れた場所には、前足を挫いたのか、しきりに舐めている木鼠(ルーサビ)が踞っている。


 壁に背を預けたノーサスは、どちらも秋までもつだろうかと、暗い気持ちに沈んでいった。


 「ノーシャス、もう疲れちゃ?」


 黙って首を振り、視線を先程の子ネズミに向けた。


 「ふみゅう?」


 みゅーは、テテテと近づいて具合が悪いのかと訊いていた。


 そこからノーサスは、驚きの連続に目を見張ることとなった。


 その場に居た皆を下がらせると、小さな家を出したのだ。


 竜の気配を感じる。


 そこに入ってから出てくると、緑の飲み物と、綺麗な器に盛られたプルプルの食べ物を手に持ってきたのだ。


 子ネズミに、ゆっくり食べさせている。


 緑の飲み物を飲ませた後には、暖かそうなかけ物をかけてあげていた。


 そして、やはり、近くにいた木鼠(ルーサビ)にも気づき、カバンから薄い草色の塗り薬を出し、挫いた足全体に塗っていた……少し光っている。


 「キュキュー」


 みゅーは、足を舐めようとするのを止めて、小さな三角の布を巻いていた。


 さっきまで、暗い気持ちでいたノーサスは、今では興味津々だ。


 「数々のこの品は、君が作ったのかい? 是非、里に戻るべきだよ!」


 「うみゅ? こりぇは、全部アシャトがくりぇちゃんぢゃよ。ぢゃから、みゅーは、早く帰りちゃいの」


 「君は、里に寄るべきだ」


 「うみゅ。帰りには寄りゅね」


 「それでもいいから、忘れないでくれよ」


 「うみゅ。大丈夫」


 『ノーシャスしゃんは、真面目なノーム。まるで、竜騎士しゃんみちゃい』


 みゅーは、遠い屋敷を思い出した。

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