追いつめられて
男が、みゅーごと捕まえようと伸ばした腕は、盛り上がった土によって阻まれた。
「何だ? 何処行った?」
「こっちだ、早く」
上空から、自分と同じ位の大きさの妖精が飛び降りてきて、みゅーの腕を掴んで走り出した。
「うみょっ?」
大岩の裏の下に小さな隙間があって、そこから掘られた空洞を一緒にはしった。
「もう、ここまで来れば安心だよ」
「みゅみゅー? 私はみゅー、あなちゃは、誰?」
振り返ったその小人は、何処か懐かしい感じがした。
「自分は、土のノームのノーサス。コルネラに頼まれて、君の様子を見に来ていた」
「コリュネリャの大好きなノームしゃん!」
「えっ! そんなことまで話していたのか?」
恥ずかしくて、動きが止まるノーサス。
「うみゅ。助けちぇくれちぇ、ありがちょう」
みゅーは、意に介さず続ける。
「しょりぇに、小人しゃん達の、道の入口がわかりゃなくちぇ困っちぇちゃから(てたから)、助かっちゃ(かった)の」
「そっ、そうか。なら、早く行こう」
「うみゅ。しょりぇかりゃ、妖精の国は何処にありゅか知っちぇりゅ?」
「そうか、名前を貰いに行くのか」
「しょう」
「君は、里の者じゃないね。何処から来たんだ?」
「みゅみゅっ。王都にありゅ、竜騎士のお家かりゃぢゃよ」
「竜騎士! とは、あの雷竜様が乗せている人族の……」
「うみゅ。しょうなの。みゅーは、しょこのキッチンぢぇ生まれちゃの」
「なんでまた?」
「アシャトが教えちぇくりぇちゃ(てくれた)のは、食材と間違えちゃっちゃっちぇ(ちゃったって)」
「食材? 球根ではなくてか? 随分と変わった理由だな」
「うみゅ」
「災難だな。そうやって、遠くに持って行かれたら、この山に辿り着くのは、難しい」
「うみゅ。大変ぢゃっちゃ(だった)」
「ノームの里と、妖精の国はすぐ近くなんだ。良ければ、里に寄っていかないか?」
「みゅみゅみゅっ! しょうなの? うみょっ。ぢょうしょう」
みゅーが悩んでしまって、会話が途切れたのだった。




