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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
みゅーちゃん編
3/97

馬車の中

 最初に、みゅーは、貰ったカバンの中身を確認した。


 すると、驚いたことに、丸くて小さな家が入っていたのだ。


 「みゅみゅみゅっ! しゅごーい」


 ちょっとだけ出して、中を覗けば、小さなキッチンも、テーブルもイスも揃っている。


 そして、屋敷を出る時に泣いて諦めた、モコふわ布のハンモックが中央に作られていた。


 もう、嬉しいのか、寂しいのか分からなくなって、また涙が出てしまう、みゅーなのだ。


 「アシャト……」


 ガタガタ揺れていた馬車が一際揺れて、壊したくない一心で、お家をカバンにしまう。


 しかし、この小さな家はとんでもない代物で、作った者がまた、特別な者なのである。


 女神が造った身体を持ち、中身は地球人。アイデアも技巧も、兎に角凄いのだ!


 まず、家の底部分に、大量の魔石入りの濃縮ビーズが詰め込まれていて、家の中の温度は、常時快適に保たれている。


 それから、この家には、付属付与の魔法がかけられていて、それがみゅーになっているので、他人に渡ることなく、必ずみゅーの元に戻ってくるようになっていた。


 他にも、考えられない工夫が施されていて、正直、旅の心配が要らない程なのだが……。


 ◇◆


 それから、馬車の中を見回したみゅー。


 すると、テチテチテチと背後から、裸足で床を走ってる様な音がする。


 「んみゅ?」


 ヌロッと濡れた鼻が突き出された。


 「みゅみゅっ!」


 「ぷき?」


 丸い顔同士、斜め45℃に傾げれば、可愛いだけだった。


 みゅーは、アサトの屋敷から一人で出た事がなかったので、初めて間近に見た小動物に、興味津々で手を伸ばした。


 ペトッ


 「みゅみゅっ! ちゅめちゃい(冷たい)」


 ふんふん


 『お鼻ぢぇ臭いを嗅がれちぇ、くしゅぐっちゃいの』


 「ぷき、ぷきぷき(ちょ、何なの)」


 ーー以後、普通に喋りますーー


 「お鼻濡れちぇりゅの」


 「さっきまで、泳いでいたからさ」


 「しゃむく(寒く)ないの?」


 「君は、誰かに飼われていたんだね。野良はこのぐらい普通だよ」


 「しょーなの」


 「あれ……どうした……何だか眠たく……」


 パタリ


 『みゅ、粉を撒いちゃっちゃ』


 無意識に、眠りの粉を撒いてしまうみゅーは、みゅみゅみゅみゅと困っている。


 目の前には、尖り鼻に尖り耳が二つ、長~い尻尾の小動物が寝入っていた。


 みゅーは、アサトから貰ったカバンの中から、毛布を出して掛けてあげて、自分もその隣りに入って一緒に寝たのだった。


 後で、商人に発見されて、ポイ捨てされるとも知らずに。

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