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地の妖精ノームの大冒険  作者: 風 ふわり
みゅーちゃん編
29/97

発端

 「先程の質問に、まだ答えてませんでしたね」


 「ふみゅう」


 「あれはですね、伝説の海の聖獣様が残したお身体の一部と言われています。それを真似て作られた代用品です」


 「しょりぇを、こんなに沢山吊りゅしちぇりゅの?」


 「はい。私達地下に住む物達に危険をお知らせ下さると、皆は、信じているのです」


 「アシャトがくれちゃ(くれた)、この花飾りみちゃいなんぢゃ(みたいなんだ)ね」


 「アサト様が作られた、花飾りって何ですか?」


 「みゅーの、このカバンにちゅいちぇりゅ(付いてる)コレが、誰か近付くちょ、リンリン鳴るの」


 「まあ!」


 「本当ですよ。私達が下山するまで、とても助かりましたから」


 デルタは、みゅーの話しを肯定した。


 「流石は、神子(みこ)様」


 うっとりするルーシェ。


 ここから、更にアサト崇拝が酷くなり、騒動に発展してしまうのだが……。


 この時点で、今の二人は、想像もしていなかった。


 ◇◆


 更に地下に案内された二人。


 そこは、洞窟のようになっていて、光る胞子のような物がふわふわと浮いていた。


 「そろそろ帰って、みゅーとゆっくり休みたいんですが?」


 デルタが問えば、ルーチェは冷たく言った。


 「貴方は、帰っていいですよ。私達が招待したいのは、みゅー様だけですから」


 それを聞いたみゅーは、ふわふわお耳をモフるのを止めて、デルタにダイブした。


 「わわ、わっ」


 デルタが危なっかしくみゅーをキャッチして、胸ポケットに入れるのを悔しそうに見るルーチェ。


 「では、後日お迎えにあがります。私も配慮を欠いた行いでした。深く反省致します」


 そう言って、ニッコリしたのだった。



 やっと解放されたデルタは、みゅーを自分の家ではなく、ギルドに連れて行ったのだ。


 「ヂェリュ、お家は?」


 「みゅー、良く聞いて。なんだか、いやな予感がするんだ。みゅーは、ここから山に向かった方がいい」


 意味がわからないみゅーは、デカ目でジッとデルタを見詰めた。


 「私は、決心したんです。何の取り柄もない私を助けてくれたみゅーの、従者になる事を」


 「従者?」


 みゅーの重い頭で、ポケットから落ちそうになるくらい頭を傾げた。


 「ぷっ。兎に角、今は、私を信じて山に向かって下さい」


 「うみゅう。ヂェリュの事は信じちぇりゅかりゃ(信じてるから)、旅を続けりゅね」


 うふふと笑ったみゅーに、満足したデルタは、薬草や木の実等をギルドの店で仕入れてもたせ、職員に山に行く手立てがないか訊いてみた。


 すると、今では、神子様の作られた転送装置があるので、暇を持てあましている配達鳥(スタンプバード)が沢山待機しているそう。それに乗せればいいと教えてくれた。


 しかし、料金が、銀貨三枚すると聞いて支払いに困った。


 すでに、捜索費用を払い、今もなけなしのお金でみゅーに薬草を買ったばかりだった。


 みゅーは、カバンに入っていた金貨をデルタに渡した。


 「他にも、キラキラした石がありゅけぢょ、ヂェリュいりゅう?」


 「い、いいえ。これで充分です。ありがとうございます」


 ◇◆


 それから、デルタは、ポケットに話しかけながら帰ったのだ。


 みゅーとは、ギルドで別れたが、気のせいだったかな? と、思うデルタ。


 「シャダイン王国で待ってますね」


 みゅーとの別れ際には、そう伝えたが、果たして再会出来るかどうか。


 みゅーのいなくなったポケットに、やる気を詰め込む事にしたデルタだった。

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