カーリング皇国の家事情
「本当にお前は、バカだ! 幾ら、俺達が嫌になったからって、危険地帯の谷に独りで向かうなんて!」
「私も、一時は死を受け入れましたよ」
「まったく……無事で良かった。心配かけやがって……」
リーダーは、腕に布を巻き付けていた。
それに気づいたデルタ。
「すまない。反省しているよ。自分だけじゃなくて、パーティーのメンバーも、危険に晒させたんだな。本当に申し訳なかった皆が無事で、心から良かったと思うよ」
「いや、俺達も、優しいお前に甘えて、八つ当たりしていたんだから、お前が、離れたくなるのも無理ないさ」
「私も、上手く受け流せていたら良かったのに、真面目しか取り柄がないから……それで、もう、冒険者は辞めるよ」
「っ、そうか。やはり、そう言う結論か……」
「違うんだ。助けてくれたみゅーと過ごして、便利用品を作りたくなったんだ。困難に陥った時に持っていたら、私のように、助かる命が多くなると思うから。私は、シャダイン王国に行って、修行しようと思うんだ」
突然の決意に、みゅーは、驚いてデルタを見上げた。
そして、ニッコリしたデルタの顔は、やっぱり甘く見えたのだった。
◇◆
全員に謝罪が終わって、後は、家に帰りゆっくり休もうと思っていると、それまで、置物のようだったルーシェが、デルタの腕を引いた。
「なな、何ですかルーシェさん」
「聖堂に向かいますよ」
「ちょっ、私は休みた……あ~れ~」
デルタ拉致られる。
みゅーは、靡く真っ白もふもふ尻尾に夢中で、デルタを助けるのを忘れていた。
樹木を大切にするカーリング皇国の国民は、風と闘ううちに、いつしか小人と同じように、地下に部屋を作るようになり、地上に出た部分は、丸くレンガや石で造られるようになっていた。
その為に、雨対策として、各家の周りには、雨どいを這わせ側溝が掘られている。
そう言った意味では、道の整備が(町中の)、シャダイン国よりはされているように思う。