別れがたい
デルタのパーティーメンバーが、ギルドに連絡して、はぐれたデルタの捜索を頼んでいた。
「ちぇっ、折角ここまで来たのによぉ、無駄骨かよ」
寝ていた虎男が起きたようだ。
「そう言うなよ。無事だったのだから、報酬は貰えるだろう」
リーダーの剣士が笑えば、虎男も笑った。
一方、その他の者達は……。
みゅーが、狐の神官の尻尾から離れないので、座り込んでしまっていて、そこにさらに、魔法使いがみゅーを構っている状態だ。
デルタは、迷惑をかけているみゅーを、どうするべきか悩み、その女性達の周りをウロウロした。
「みゅー、私のポケットに入ってくれ」
「ヂェリュ、みゅーこのモコふわが欲しいの!」
「「えーっ!」」
「これは、切り離せませんから、あげられません」
神官は、キッパリ断った。
「しょうなの? わかっちゃ。諦めりゅ」
「何をやっている、戻るぞ!」
いいタイミングで、リーダーから声がかかり、デルタは、みゅーに向かって両手のひらを向けた。
が、みゅーは、地に降りたので、デルタは慌てた。
「ヂェリュ、みゅーも、早く帰りちゃいから、もう行くね」
「そんな! 山は、風が強いから飛ばされてしまいますよ」
「大丈夫。地下を通りゅから」
「みゅー、もう会えないのかな?」
「うみゅ? ヂェリュとは友達ぢゃかりゃ、みゅー、アシャトにお願いしちぇ遊びに行くよ」
デルタは、この小さなノームにそう言われて、やっぱりもう会えない気がした。
デルタの悲しそうな表情に、みゅーも悲しくなってしまったが、これ以上離れてしまったら……。
「みゅーさん、アサトと仰いました?」
「ふみゅ?」
「そうなんです。みゅーは、あの、アサト様や雷竜様と暮らしていたんだそうです」
「まあまあまあ!」
神官冒険者の態度が、みるみる変わって、魅惑の尻尾をふわり、ふわりと大きく振った。
「みゅみゅっ!」
簡単に罠に嵌まったノームでした。




