甘い笑顔
さっきの、入口の一つに入ると、木をくりぬいたベッドの中に、家族と似てない、美人の小人さんが、半身を起こしていた。
「こんにちは、小さなノームさん。私は、コルネラよ。宜しくね」
「みゅっ。みゅーぢぇしゅ。気に入った器はあっちゃ(あった)?」
「赤ちゃん鳥のカップも可愛いけど、私が探しているのは、お皿なの」
それを聞いた家族は、スイーツの載っていた皿を取りに行った。
小人のおじさんが、指を穴に入れて、クルクル回しながら皿を差し出せば、娘さんは、驚いてそれを手に取った。
「まあ! お父様。これはどういう魔法なの?」
「みゅー様がー、戻したのだよー」
急いで、胸から欠片を取り出して、お皿の穴に填めればピッタリだ。
「ああ! 私のお皿。ノーサスから贈られた、想い出の品」
「みゅう? ノーサスさんっちぇ、誰なの?」
「ハッ! やだ、私ったら」
コルネラは、両手で顔を隠してしまう。
「ノーサスってー、商人のノーサスー?」
おじさんが、食い気味に問い正せば、コクリと頷いたのだ。
そこから、家族が「めでたや~」と言って踊り出してしまい、みゅーも、ポテポテ跳ねてみた。
『大好きな人から貰っちゃ、大切なお皿ぢゃっちゃのかあ』
みゅーも、アサトが大好きだから、気持ちは良くわかって、コルネラとは仲良くなった。
すると、小人さんが訪ねてきて、人族が呼んでいる。と教えてもらって、広場まで戻ってきたみゅー。
「待たせてすみません。中々、木の皮を剥ぐのが大変で、時間がかかってしまいましたよ」
「ううん、平気ぢゃ(だ)よ。みゅー、凄く楽しかっちゃし、小人しゃんちょ、仲良しになっちゃから、地下に入れちぇもりゃえちぇ(てもらえて)良かっちゃ」
「フフ、待ってる間、楽しそうな声が聴こえてましたよ」
そう言ったデルタの笑顔は、なんだか、とても甘いような気がするみゅーでした。




