閑話 ガルーダの理由
ガルーダは、みゅーを補食し損ねてから、この小さき者を密かに観察していた。
と言うのも、ガルーダには、悩みがあったからだ。
ところが、その悩みを、意図も簡単に解決してしまったのが、他でもないみゅーなのである。
事の発端は、竜の飛来によるもので、ガルーダの敵と言えば、蛇と竜。
そう、魂に刻まれているのだから、どうしてか等は愚問である。
この山脈に、大蛇系がいないのは、ガルーダが殲滅しているからだった。
文字通り、お山の大将だったガルーダに、変化が訪れたのは、7~8年前からチョロチョロしだした雷竜を見かけてからだ。
初めて見た竜。
子竜とは言え、計り知れない潜在能力があって、流石に、簡単には近づけなかったのだ。
そうこうしているうちに、子竜は、あっという間に成長して、人間の、これまで出会った事のない能力持ちを乗せて、巡回するようになっていた。
まあ、普段は、人間の街に住んでいるようなので、許容してやって(ガルーダの見解)いる。
だかしかし! ある日、沢山の成竜が、この山脈に飛来してきたのだ!
中でも、白銀王と呼ばれている一際荘厳な竜は、いかなガルーダでさえ、ひれ伏さざるおえない神々しさに包まれていて……。
山の皆は、我先にと挨拶をする現状。
そんな事は、ガルーダの矜持、いや、そんな生易しいものではなく、心の奥底から享受する事が出来なくて……。
それが悔しくて、ここのところ、安心して眠れた事がなかったのだ。
ところがだ!
この、ふみゅふみゅしか言わない小さき者が、眠らせてくれた上に、安全も保証してくれたのだから、驚きだ!
どうみても、他の妖精より、危ぶなっかしくも、自立心の欠片もない感じだが、だからこそ、安心して利用する事に決めた。
しかし、ガルーダは気づいていなかった。
端から見れば、素直なみゅーを庇護しているようにしか見えないということを……。




