眷族
さて、問題の戦闘は、と言うと……。
みゅーの花飾りの知らせで、何かが接近している事がわかった。
「こんな便利アイテムを何処で入手されたんですか?」
「こりぇは、アシャトがみゅーにくりぇちゃの。素敵ぢぇしょう?」
そんな事を話している物だから、あっという間に、魔獣岩石が転がってきていた。
慌てたみゅーが、眠りの粉を撒いたから、デルタが吸ってしまい、その場にくずおれてしまった。
「みゅみゅっ!」
ぶつかる!
みゅーがそう思った時、頭上に大きな影がかかり、風圧を連れてきた。
ガツッ!
ガルーダが体当たりしたのだ。
それで、魔物の軌道がそれた。
みゅーは、すぐさま、デルタの時間を巻き戻す。
「集めちゃ時間を巻き戻しぇ。ぐりゅりゅりゅりゅ」
みゅーが、天高く両手をあげて祈れば、デルタの時間だけが巻き戻っていく。
立ち上がったデルタは、困惑している。
「魔物はどこに?」
「後ろなの!」
みゅーの緊迫した様子で振り返り、かろうじて避けたデルタ。
続いて、背中に装備していた槍を構えた。
何度も避けるが、毒粉を吐くので近づけない。
そのうち、魔獣岩石の色が変化してきて……。
「みゅみゅっ! 色が変わっちゃの」
「ヤバいです。もうすぐバラバラになるかもしれません」
「バリャバリャっちぇ(バラバラって)、ぢょうなりゅの(どうなるの)?」
「細かくなった石が、四方に飛び散り襲ってきます」
「みゅみゅっ! 痛しょうなの!」
「攻撃しても、結局バラバラになるから、逃げるのが一番なんですが、これだと、戻る事になってしまいます」
戦闘の事が良くわからないみゅーは、もの凄ーく困ってしまった。
とっさに、先ほどの赤を思い出し、お願いした。
「ガルーダ様ー! 助けちぇ下しゃい」
みゅーが、トンでもない事を叫んだので、仕方なくガルーダは、魔獣岩石を掴んで、山の上に運んで落とした。
「我が、どうしてこんな事を……」
そう言いながらも、初めて眷族〈勝手にみゅーをそう思っている〉に頼られたので、満更でもなくて、ニヤニヤが止まらないのであった。(ボッチ悲しい)
デルタは、立派なガルーダが目の前を通過した事に、腰を抜かしてしまった。
「い、今、ガル、ガルーダが……」
みゅーは、デルタがどうしてこんなに驚くのか、それが良くわからなくて、みゅみゅっ! と言った。