新米
翌朝、みゅーが家から出ると、這いつくばって見ている男と目が合った。
「うみょ! 何、しちぇりゅの?」
「あ、いや、凄く綺麗な物だったから、中は、どうなっているのかと……」
「みゅみゅっ、大きくちぇ入りぇないよ?」
「いや、だから覗いてもいいか?」
「んみゅ。窓を開けりゅね」
テテと家に入り、窓を上に上げたみゅー。
「ウッヒャー、どうなってるんだ?」
男は、精巧に作られた部屋の家具に、信じられないと頭を振る。
「貴方は、何者なのですか?」
人は、信じられない事が連続すると、それを奇跡だと思ってしまう。
男の中で、みゅーは、奇跡の存在となった。
「みゅーは、みゅーぢゃよ? しょりぇより、あなちゃのお名前は?」
「私ですか? 申し遅れました。私は、カーリング皇国に住む、冒険者のデルタです」
「みゅみゅっ。冒険者! 知っちぇりゅよ」
「いや。やっとB級冒険者になったばかりで……」
「一人ぢぇ?」
「……」
「みゅみゅみゅっ?」
一瞬辛い顔を浮かべてから、苦笑いした。
「バカだったんです。くだらない事で見栄をはって……挙げ句に死ぬ目にあって……」
みゅーのデカ目にも、大粒のしずくが盛り上がった。
ぐーきゅるるる。
「ふみゅ」
みゅーは、カバンの中から、あるだけの果実を出した。
それから、具合の悪い時に飲む、草色の薬液も出した。
「ありがとうございます。無事に帰れたら、みんなに謝ります」
「うみゅ。仲直り出来りゅちょいいね」
◇◆
みゅーは、この、新米B級冒険者が心配で、町まで着いて行くことに決めた。
『いちゅもアシャトは、みんなに優しくしちぇあげちぇちゃ。ぢゃかりゃ(だから)、みゅーも頑張りゅの!』
ムフン! と気合いを入れたのだ。




