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―01―始

前見た夢の内容を思い起こして書きました。

軽い気持ちで読むことをオススメします。




(※)



天界総機関〖エデン〗→天界内での重要な役割を司る機関。たくさんの省にわかれている。


神力→魔力的なもの。これで強さが決まるといっても過言ではない。


欠点〖バグ〗→障害のようなもの。

→人により種類が違う。




私は天界一大きな建物、天界総機関(エデン)の国土防衛省で働いている。

エデンはエリートだけが就職出来る場所で(なんとか)省など役割がわかれているのだが、国土防衛省の仕事は日々天界内に入ってきた魔族達を退治したり討伐したりそれに関する事などだ。

そこで働いているなんて一般の天族たちから見ると私はとても名誉なことをしている凄いやつだと思われるだろうが…現実はそう甘いものじゃあない。





「おい無能!何をしているんです!!こんな簡単なことも出来ないなんて本当無能ですね!!」

「申し訳ございません!!!」

私は上官(国土防衛省内では1番偉い役職)の前でスライディング土下座を披露した。


ぐっ…!?…こんにゃろう。頭踏みやがって…!ちょっと書類に間違いがあっただけじゃないか!しかも結構どーでもよさげなやつっ!っこんの歳増が!!!

内心そう思いながらも顔は努めて真面目に、踏まれながらも土下座する。

でも顔に出てたみたいで

「なんです?その目は!まだ反省していないようですね…!!」

上官(ババア)が手を振り上げ私の顔の前まで手のひらが来たと思った瞬間、、、いきなり止まった。

「…へ?」

上を見てみると副官が上官の手を掴んでいる。

「上官。手はやりすぎでは?」

反省しているようですし。

「ですが次のミスを出さないためにもこういったことは大事ではないですかね?

…それに上官の私に楯突くのはどーなんですか()()のハウェル?」

不穏な空気の中私が体制そのままでオロオロしていると別の副官が現れた。

「おぉっと?上官じゃないですかー。上層部から呼ばれてますよー。早く行ったらどーですかねー?待たせるの、まずいんじゃないですかねー?」

「…ちっ。無能!次はないですからね!!」

上官(ババア)はお決まりのセリフを言ったあと去っていった。





「大丈夫ですか?」

差し出された手を(恐れ多かったので)断り立ち上がると、

「あれに捕まったなんてお前もついてないなー」

私なんかの下っ端に副官達が声をかけてくれた。

「ありがとうございました」

私はそう言い頭を下げた。なお、けして『助けてくださって〜』などとは言わない。言えない。心の中ではババアと呼んでいてもあの方は()()上官なのだから。

私のその反応が分かっていたのか

「…お前も真面目だなツェルティエ」

と言い女性の方の副官は苦笑いをした。

「お、こいつツェルティエっていうのかー。いい名前だな」

「ありがとうございます」



これから少しして副官達とはわかれた。




***


[副官のゼルウェル視点]



「おい、ハウェル。あのツェルティエってやつがなーんで下っ端なんかやってるのか理由は教えてくれるんだよな?」

同じ副官のハウェルは苦笑しながら振り返る。

「やはり聞きますか」

「当たり前だ。なぜあんなに神力があるのにそれを隠している?あの隠し方からして能力も高いんだろう?下手したらオレらクラスじゃないか」

ハウェルは両手をあげ降参ポーズをし、

「ええ、仰る通り私たちクラスです。

さて、なぜツェルティエが下っ端をやっているか。それはあの子が欠点(バグ)持ちだからですよ。これでもう分かりますよね?」

「…ああ」

きっとオレの顔は苦々しい顔になっていることだろう。それだけ欠点(バグ)持ちは種類によるが大なり小なり苦労することが決まっているからだ。

「どんなだ?」

「実際の顔ではない顔で見えるというものだそうです。そして何故か80歳から上の天族たちの顔は実際よりも老けて見えるとの事です」

「!?…ふ、老けて…。というか80なんて範囲狭くないか!?」

違う顔に見えるというのも驚いたが…老けてみえるとは。上官がババアに見えてるのはいいとして…オレもなのか…?

「…てことはオレも、か?」

上官(ババア)と一緒………?

顔がひきつりながらも自らを指さすと、

「そういうことでしょうね」

こいつは珍しく笑顔でそう言い切りやがった。




***



副官達とわかれ、私は大廊下を歩いている。

早急に書類の訂正をしなくてはいけない。どーでもいい書類の漢字の打ち間違いをしただけだったのに、あのババアに見つかったせいであんなに大事になってしまった。はぁ…めんどくさい。だが仕方がない早く終わらせよう。



副官という役職についてだが簡単にいうと上官の一個下の役職である。男性・女性それぞれ一身ずつ計二身いるのだが、下の天族達を直接まとめるのが仕事だ。つまりとっても偉い。

…指示を出すだけ出して後はふんぞり返っているだけの上官(ババア)よりも尊敬する上司だ。

それぞれ女性の副官が女性の部下達をまとめ、男性の副官が男性の部下達をまとめているので私の上司は女性の方の副官と言うわけだ。





私はいそいでその書類を訂正し、いつもの業務に戻った。

私は下っ端の中の下っ端なので仕事もそこまで派手なものではない。国の中に攻めてくる上級魔族を退治するのではなく下級魔族を退治したり、もっと地味だと魔族の出現する場所についての噂を集めたりである。

まあ地味だが私はそこそこ満足している。




***



いつもの業務を終え帰宅すると、相変わらずの幼なじみ達がいた。


「ラフ、何かして欲しいこととかあるか?!」

「今は特にないです。兄様、いつも有難いのですがそう何度も聞かなくてよろしいのですよ?」

「いや!遠慮しなくていいんだぞ?!兄ちゃんはラフのためならなんだってできるからな!」

「……遠慮なんてしていないのですが…」



「バカディル、仕事しろ」


私は幼なじみ達といわゆるルームシェアをしているのでこの状況も日常茶飯事すぎて見慣れてしまった。

幼なじみは兄妹で、兄のカディルと妹のラファエラである。

カディルは見た通りの兄バカのアホでいいとして、妹のラファエラは身体が弱く天属にしては神力も弱い。

そんな妹を放っておけないっていうことで天族としてはだいぶ強い方なのに兄バカのバカディルは就職をしないで内職をしているんだけど…




私は特殊な箱に入っている火薬の袋を掴んで、言う。

「仕事全くしてないじゃん」

「しょうがないだろ!ラフが心配だったんだよ!!てかバカディル言うな!」

「あーそーですかー」




なんか後ろでバカディルがギャンギャン言ってるけど無視無視。

私はラファエラがいるベッドに歩いていく。


「ただいまラファエラ、今日は体調大丈夫だった?」

「おかえりなさいツェルティエさん。今日は大丈夫でした」

「そっか、良かったね」

私がその小ぶりな頭を撫でるとラファエラは嬉しそうに微笑んだ。





***




私はそんな日常を繰り返していた。

しかし、ある日を境にどんどん変わっていく。


そ れ は 質 の 悪 い 夢 か 、 あ る い は 策 略 か 。


は た ま た 運 命 だっ た の か 。




「ラフ、今日の夕飯は何がいい?!なんでもいいぞー?」

「何でもいいですよ。兄様の作ってくれるものは何でも美味しいので…」

「そうか〜?そう言ってくれるの兄ちゃん嬉しいけどほんとに何でもいいんだぞ!それ以外にもなんか欲しいものとかあるか!?それとも羽を洗おうか?!」

「えぇと、今は大丈夫ですよ」



私は『いつもの光景だな〜』と思いながらマグカップ片手に飲み物を飲んでいた。しかし、私は見てしまった。

…思えばここから始まったのかもしれない。


私はなんともなしに窓の方を見た。するとカーテンの隙間から何かが見えた気がして気になり、窓に近寄りカーテンをめくった。

すると、、、


「…や、やあ?」


な ん と そ こ に は 魔 族 が い て 、 こっ ち を 覗 い て い た の だ 。



私は短い悲鳴をあげ、すぐさま臨戦態勢をとった。

私の悲鳴に反応し、カディルもこちらへ来た。

…妹の安全をとりながらだが。




「なぜこんな国の中央付近に上級魔族がいるっ…!!」

なぜ相手が上級魔族と分かるのか。

それは相手の角の大きさ、羽の大きさや本数でどの位の強さなのかが分かるからだ。これは天族にも同じことがいえる。

そして天界も魔界も、強さ=役職(位)なので相手の位などが分かるということである。



「そんなことはいい!ラフのためにも早く討伐するぞっ!!」

「……あ、怪しいもんじゃないんで!!?」

ぎゃぁああ!絶対また来ますからね!?また今度!!(ピューン!)

「「っ…待てっ!!!」」

「くそっ逃げられた」


私とカディルの二人がかりで追いかけたが捕まえることは出来なかった。しかし、私の剣がかすっていたのか魔族たち特有の服のはぎれが地面に落ちていたのだった。




そう言ってどう見ても怪しい魔族は帰っていった。

私達はあいつが次来た時のためみんなで対策を練り、私は今日中に上へ報告するためエデンへ向かった。




***




私はエデンについてすぐ上司─副官のハウェル─に、家に上級魔族が来たことを報告した。証拠品としてはぎれを見せて。



「…そうか、確かにこの素材は魔族達が着ている服のそれとよく似ている。よし上官などには私が言いにいく。ツェルティエ、このことをゼルウェルにも伝えてくれるな?」

「はっ!」


私がこのことを伝えるとやはり副官はとても驚いた…が、冷静に指示を出すのだった。





私は急いで副官のゼルウェルを探した。副官は幸いにも近くにいたのでこちらにも事を報告する。


「何っ?!それは本当か?!~くっそっ!魔族め!」

「おい!そこのお前ら!どうせ話は聞いてたんだろう?このことを他の奴らにも伝えろ!!ツェルティエお前もだ!!頼んだぞ!」


副官は通りすがりの下位武官二人や私に指示をだし、自らも慌ただしく動くのだった。



その日その夜は天界中が混乱に包まれた。




***




そうして天界中に注意喚起をし、私だけでなくカディルやラファエラにも事情を聞き、あの上級魔族を探したり”次”についてを話し合ったり防犯体制の強化をしたりしているうちに夜は開け朝になった。




朝になると奇妙な事が起きた。

なんとエデンを含め天界全体の一割くらいの天族達の考えが『魔族が天界内にいることなんて普通だろう』という考えになっていたのだ。周りがそんなことはないといくら否定しても、その考えをおかしいといっても本人達はむしろこちらの方が何を言っているのだという顔で見てくるのだ。



この現象は日が経つ事に広まっていった。

…おかしい、おかしい、こんなの何かがおかしい!

私はそう思い続けた。最初は周りの者達もみんなが肯定してくれていたのに、最近はだんだんと減ってきている。

そんななか副官達二人は”おかしい”と考える側であった。



「おい、これはおかしくないか」

「ええ、確実に何かをされましたね…」

「やはりそうなんですか…?」

「ああ。こんな直ぐに考えがいっきに変わるなんてそうとしか考えられないだろう」

「私達と同じ考えを持つ者達を集め、予防などについて話し合いましょう。何もしないよりはマシなはずです」



私達は対抗策などを話し合うため集まることとなった。

しかしこの間にも”あの”魔族は私達の家の庭によく侵入してくるようになった。



再び庭にて、


「またこいつっ!!今度こそ殺ってやるからなっ!!!」

「今度は逃がさないぞっ!!!」

「ぎゃぁああ!やめてー!!!失礼しましたぁぁあ!(ビューン!)」

「くそっ!!!また逃げられた!」



二階の窓越しに、


「こっちなら…?大丈夫かな…?(ビクビク)」

「!?きーさーまー!!!」

「う、うわぁ!なんでもないですぅーー!!!」

「逃がすかぁー!!!」



一階にある使われていない個室の窓越しに、


「今度こそ、大丈夫なはず…?…だ…よね?(キョロキョロ)」

「ほう、貴様ここまで卑怯なことをするのだな…さすが!卑劣な魔族だなぁ!死ねぇぇ!」

「ヒエッ…!!!また来ますからねぇーだ!!!」

「クソっ!相変わらずの逃げ足だなっ!」



とうとう、


「ふ…ふふん…!とうとう家の中に入れたもんねっ(ビクビクッ)」

「てめぇ…なにラフの部屋の隣に入ってきてんだよ。ぜってぇ殺す」

「フォッ…!?あ、あは…?失礼しましたっ!(ビュン)」

「まちやがれぇぇぇ!!!!!ぜってぇ殺す!!!」



奴は家の中にまで侵入してくるようになった。

おかげで我が家の雰囲気は最近殺伐としている。


バカディルなんて内職の火薬をちょっとずつ本人曰く頂戴して新しい武器すら作ってしまった

いや、ダメだろそれ…バレても知らないからな。

その武器は銃なのだが、発射すると数秒後とてつもない音とともに弾は爆発。実際に見たが威力がやばい。表に出してはならない武器が完成していた。




エデンの方でも動きがあり、

上官(ババア)が堕ちていた…

魔族の罠にかかってしまっていたのだ。

はあ?となるだろう?副官は何もなっていないのに…

私も見たのだが…


「レレシェラ、君はとても素敵だね…♡」

「っまあ…♡っんもう、ザッカスは口が上手いんだからっ♡」


こんな感じだった。ちなみにレレシェラは上官(ババア)の名前だ。

…うん。キモかった。私のバグによってジジババに見えるのもありひたすらに気持ち悪くてすぐ場を離れたのは賢明な判断だったと思われる。



さらにエデンが混乱に包まれ、対応に追われたのは言うまでもないだろう。




***




そんななかにまた奴が現れた。

今度は二階にある部屋の窓を強行突破しようとしていてバカディルと一緒に殺ろうとしたのだが…


「んむ〜っ!!開ーかーなーいっ!でも早くしないとっ!!「見つけたぞっ!!!」ヒッ!」

「また懲りずに貴様っ!今度こそっ!!!」

「ま、待って!これには理由が…」

シュッ‼

「き、聞いてってばぁ〜…!!!」




そんななか…彼女の悲鳴が響いたんだ…


「キャァアァァアアッッッ!!!!!」



「っ!!!ラフッッ!!!」

すぐにカディルが反応して飛び出してって。




「ああ、間に合わなかった…」

「貴様!何をしたっ!!!」

ラファエラになにをしたんだっ!!!



私が殺気そのままにそう吠えても普段すぐに逃げていくはずの奴はへたりこんだままだった…。





***


[カディル視点]



ラフ!

ラフっ!


「ラフっっ!!!!!」

急いでむかった先には…



「っ!!?ふぃふぁふぁっ!!!」

(っ!!?兄様っ!!!)




…口を塞がれて五身位の魔族に囲まれ担がれた愛しの(ラフ)がいた……




…。


…そこからの俺の行動は早かった…。


バシュッ!!

「グッ……!!?」

ッザッ!!!

「………グハッ!!?」

スパンッ!

「ひ、ひぃっ!!?」


三身は殺った。

あと二身…。


だが…

その短い間にラフは連れていかれてしまっていた…。



もちろん、追いかける。どこまでもな!

魔族ども!お前らのことぜったいに許さない!!

許さない!許さない!ゆるさない!!ゆるさない!!!ユルサナイ!!ユルサナイ!!!ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ。





…───ラフ、待ってろな…

こんな不甲斐ない兄だけど…絶対助けに行くから───……



視界がぼやけるなか、俺はこの前作った武器を持って飛び出していった…


















本当は短編で書く予定でしたが、予想以上に長くなったことと一気に書き切る自身がなかったので分けました。

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