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ライフ?ロール!  作者: 緋月夜夏
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第9話 初めての相談(五)

 暫く待っていると小淵さんたちが部室に来たので情報を共有する。


「宇川君は亀梨さんとその先輩が好き、と」


「亀梨さんがストーカー化している、ですか」


 小淵さんは少し考え込んだあと、言った。


「次はお二人を同席させるでしたね。亀梨さんの方には伝えてありますか?」


「最後に言っておいたよ。大丈夫ですだって」


「宇川君にも伝えておいたので明日は部室に直接集まりましょう」


「ちょ、ちょっと待ってください!本当に会わせるんですか?」


 宵川さんが慌てて叫ぶように言う。


「?そういう予定でしたよね?」


「いや、だって喧嘩になったらどうするんですか?」


「そうですね。お二人には部室で話し合っていただいて、私達は部室の外で待機するのはどうでしょう?亀梨さんが激昂しても先生方を呼びに行きやすいですし」


「そうじゃなくて、喧嘩を防ごうとはしないんですか?」


「そ、そうですね。私も宵川さんと同じ意見です。今お二方を同席させるのは危険かと…」


 宵川さんに新川先輩が続く。2人が言ったことはもっともだ。


「喧嘩になったなら話を聞く限りそれは宇川君の責任でしょう。私達に原因があるわけではありません」


「でも、私達が合わせなければ喧嘩にはなりませんよね?」


「そこまで心配ですか?亀梨さんの方から宇川君には何度か話しかけてると言っていましたし、喧嘩になる可能性は低いでしょう」


「でも…」


「宵川さん、大丈夫だよ」


「継野先輩?」


「そもそも亀梨さんも間を取り持って欲しくて相談に来たんだろうし、喧嘩になりそうだったら俺たちで止めればいいよ」


「そうですね…」


 一応は納得してくれたようだ。少し不満はあるだろうけど。


「そういえば…」


「なんですか?」


「宇川君が探してた先輩って誰かわかったの?」


「いえ、ですが陸上部にはいないようですから卒業したのではないかと。そうでなければ今年から陸上部に参加して、ない…」


「うん。凄い心当たりあるんだけど」


「まさか…そんな偶然ありますか?」


「でも、宇川君だって気になる相手の学年くらいは知ってるんじゃない?」


「もしかして名前を頑なに言わなかったのは…」


「もし本当に水月のことだったら…」


「…修羅場」


「まずいですよ、明日は水月先輩も来るんですよね!?3人が顔を合わせたら月雪ちゃんの言う通り本当に修羅場ですよ!?」


「あくまで仮定の話です。水月さんとは別の人の可能性もあります。ですが、継野君。水月さんに連絡していただけますか?」


「了解」


「相談部のグループを作っておきました。笹木先生には鍵を返した時にお願いしておきます」


「俺が返してこようか?」


「いえ、大丈夫です。というよりも今後鍵の管理は出来る限り私がします。それくらいは副部長としてやっておかないと」


「それを言ったら俺とか何もしてないんだけど…」


「これから増えますよ。では、話を戻しますが、水月さんが宇川君の意中の相手だった場合、継野君に彼氏の役をしてもらいましょう」


「俺?」


「私達の誰かがしますか?確かに水月さんが同性愛者と思い込ませれば宇川君の諦めもつくでしょうけど…」


「そうじゃなくて、水月に断って貰えばいいんじゃないの?」


「断り方にもよるでしょうけど、相手がいないのに簡単に諦めてくれますかね?」


「2人とも好きって言ってたんじゃなかったっけ?脈なしってわかったら亀梨さんに行くんじゃない?」


「あっ、それは違うと思います!」


「そうなの?」


「航平君は2人とも好きって言ってましたけど、亀梨さんを振った時点で順位はつけてるんです。なので亀梨さんのことは先延ばしにすると思います。亀梨さんは航平君に夢中なのはわかりやすいですから」


「…会ってもいないのに宇川君の俺の中の評価が下がり続けてるんだけど」


「あはは、まあキープってやつです」


「若い子怖い」


「継野先輩もですか!?」


「…怖い」


「月雪ちゃんは同い年だよね!?」





***





 夕食後の入浴を終え、自室に戻るとちょうど水月から電話がかかってきた。


「継野か?」


「自分からかけただろ。グループには入れたか?」


「おう!スタンプめちゃくちゃ送っておいたぜ!」


「迷惑すぎる…」


 見てみると通知が大量に来ていた。


「…それで、何の用だ?」


「メッセージ見てない感じか?」


「まだ見てない」


「えっと、まずオレ以外に同学年で部活を途中でやめたやつはいない筈だ」


「なら、水月の可能性が高いか」


「わかんねぇ。美沙にも宇川ってやつのこと聞いてみたけど知らないって言ってたぞ」


「全然接点ないみたいだからな」


「それで明日は継野がオレの彼氏、のフリをするんだよな?」


「ああ」


「なら、明日はオレの事名前で呼んでくれ!その方がほんとっぽいだろ?」


「そうか?」


「そうだ!オレもちゃんと光って呼ぶからな!」


「わかった」


「おう!また明日な!」


 電話が切れ無機質な音が流れる。ふと気づくと雨音が聞こえる。いつのまにか降ってきていたらしい。雨足は強くなっていく。明日には晴れていることを願いカーテンを閉めた。


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