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ライフ?ロール!  作者: 緋月夜夏
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第7話 初めての相談(三)

「さて、これから何をしていくべきか考えましょう。」


「…質問。」


 月雪さんが顔の横くらいの高さまで手を上げながら言う。


「相談って何かしなきゃいけないの?」


「どういうことですか?」


「私は話を聞いて助言するくらいだと思っていた。だからそもそものことを決めるべき。」


 眠たげな眼差しが部員の顔を一周する。そして最後には笹木の顔を向いて停止する。


「そうだな。私、というか文部科学省としては多様な価値観から同年代の問題の解決を図るって感じだったから月雪の言う通り助言だけで済むならそれでいいし、すまなければ解決まで手伝う事までやってもらいたいな。」


「はい。」


「なるほど。」


 小淵さんはあごに手をやり頷いている。


「すみません、月雪さん。他の人も月雪さんと同じ考えだったならすみません。私の思い込みで勝手に相談を先送りにしてしまって。」


「大丈夫ですよ。」


「大丈夫です!」


「なぁ、継野?どう言うことだ?」


「…あとでな。」


 水月はおいておくとして、月雪さんには驚いた。俺も小淵さんと同じ考えで、そんなこと考えもしなかった。


「では、改めまして。今後の方針を考えましょう。1人1個、思いついた方から言うという形で進めましょう。」


「はい!元々好き合ってたんですから、何か特別な事情があるんだと思います!直接聞くのが早いと思います!」


「私は宵川さんに賛成です。一方の意見からでは正しく判断することは難しいと思います。」


「俺は亀梨さんにもっと詳しく聞くべきだと思う。今日の話は必要ない話ばっかりだったからな。」


「はっきり別れさせる。そのために当事者の2人を呼び出す。」


「あっ、オレもそれがいいと思うぜ!別れるかはともかくやっぱ、はっきりさせるには直接顔合わせるのが一番だろ!」


「私は、亀梨さんに相手の方を諦めて貰うのが良いと思います。亀梨さんの話によると相手の方は好意が無いようですし。」


「…さて、一先ず6人の意見を共有できたわけですが、笹木先生、この後は多数決ですか?」


「ん?そうだなぁ…自由でいいぞ。多数決でも良し。相手を納得させるも良し。そして、1人1人が別々に動くも良しだ。だがまぁ、この相談部を知ってる生徒も多くはないから、1人1人で動くと不信感を与えると私は思うぞ。」


 その後、話し合いが平行線を辿ったため解散ということになった。

 帰り道、水月に加えて小淵さんと並んで帰る。今まで一緒にならなかったのは不思議だったが、ずっと思考を巡らせている様子で話しかけるのは躊躇われた。

 一方、水月は少し目を離した隙に飲み物を買ってきていたり、気づくと3人分のクレープを持っていたりと気にせず小淵さんに話しかけていた。



***



 帰宅し、夕食を食べながら話題として未来に相談部のことを話してみた。


「今日、初めて相談者が来てさ、その相談の内容が元彼とヨリを戻したいってことらしいんだよ。」


「…あっそ。」


「へぇ、何年生だったの?」


「未来と同じ1年の女子。中2から付き合ってたんだって。」


「あー、もしかしてあれかしら?受験勉強が忙しいから?」


「男の方がそう言ったらしい。でもそのあと復縁はしてないって。」


「今時遠距離恋愛っていってもケータイでいつでも話せるのにねぇ。」


「ん?いや、遠距離恋愛じゃなくて、両方うちの高校だよ。」


「そうなの?健気ねぇ。」


「え?」


「だって好きな人と一緒に入るために同じ高校に入ったんでしょう?若いっていいわね。」


「まぁ、そうだけどさ。」


「それで、その後はどうなったの?」


「その後は普通にこれからどうするか話し合ったんだけど意見がバラバラで今日は解散ってことになったんだよ。」


「まぁ、そうなの。」


「何嬉しそうな顔してんの?」


「青春ねぇと思って。何事も勉強よね。それに光も楽しそうじゃない。」


「そうかな?」


「まぁ、頑張りなさい。最初が肝心よ。」


「そうだね。」


 少しは話せば変わるかと思ったけどそうでもないみたいだ。


「未来はどう思う?」


「どうでもいい。」


「未来なら相談してきた子のことも俺より理解できるんじゃないか?」


「うるさい。」


「そうだ。未来も悩みがあったら相談してくれていいからな。俺に手伝えることならなんでもするぞ。」


「うるさいってば!」


 また俺は調子に乗ってしまったらしい。


「なんなの!?私に対する嫌がらせ?恋にうつつを抜かしてても入れるのにってこと!?最っ低!私は同い年に興味ないの!それに変な部活に入って、楽しんでる自慢?楽しそうで良かったね!…ずるいよ。」


 そう、まくしたてて立ち上がる。


「未来。お兄ちゃんがそんなこと言ってないってわかるでしょ。」


「わかってる!」


 母さんの声で椅子に座りなおし、食事を再開する。未来はそっぽを向いて俺とは目を合わせようとはしない。


「青春ね〜。」


「…うるさい。」


 2人が何を話しているのかは分からなかったが、また未来に怒られそうなので今日は話しかけないことにした。度々視線を感じた気がするが気のせいだろう。

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