第14話
部屋に戻り、スマホを開いたところでメッセージが届いていることに気がついた。
メッセージを確認しようとしたところで、電話がかかってくる。表示された名前は『御崎 美沙』
「…えっ」
一瞬驚くが確かに電話がかかってきている。
「もしもし?」
「あっ、継野君?今大丈夫?」
「大丈夫だけど、何でだ?」
「ん?何が?」
「なんで俺の連絡先知ってるんだ?」
「…はぁ?」
凄いキレられた。
「初めて一緒にカラオケ行った時に交換したよね?」
「…そうだっけ?」
「まぁ、忘れもするよね〜。継野君、交換した日に一言送ってきた後一切返信してこなかったもんね」
「既読スルーした覚えないんだけど…でも、ごめん」
「しっかりしてよね」
御崎さんのアカウントを探す。
「…なぁ、もしかして御崎さんのアカウント名ってミサとミサの間に☆があって左右になんかついてるやつか?」
「そうだけど?」
「…スパムにしか見えないわ!」
既読スルーもするはずだ。さっき御崎さんがメッセージを送ったからか『.。.:ミサ☆ミサ:.。.』というアカウントが上位に来ている。
「え〜!可愛くない?」
「全く。返信して欲しいならちゃんとした名前に変えてくれ」
「超上から目線じゃない?」
「純粋にわかりにくくないか?」
「そんなの継野君だけだよ」
「そうか?」
「仕方ないから継野君の為に変えてあげる。感謝してよね」
更新するとアカウント名は『御崎 美沙』に変更されていた。
「ありがとう。それで、用事はおしまいか?」
「違うよ!?全くかすってすらいないからね!…ほら、紅葉が怒鳴りあってたからさ。詳しいこと聞こうかと思って」
「なら紅葉にかけろよ…」
「…」
「どうした?」
「いや、名前呼び終わったのかと思った」
「あー、慣れた?」
「…まぁ、いいや。で、あの子が相談に来てた子?めちゃくちゃキレてなかった?」
「あー…」
細かいことを省いて伝える。
「ふーん、大変だね」
「感想それだけかよ」
「いや、だって普通に無理くない?神様じゃないんだから願いを言えば叶えてくれるなんて都合いいわけないっしょ」
「でも、相談を受けてここまで怒らせることはないだろ?もっと慎重に行動すれば」
「…継野君達はプロじゃないでしょ?資格?があるかわかんないけどそれを職業にしてる人に敵うわけないじゃん?それは誰だってわかるはずだから求められてるのは別のところじゃないの?」
「そうなのか?」
「きっとね。わかんないけど。気楽にやったら?まだ終わってないんでしょ?」
「…え?」
亀梨さんは振られてしまったことは伝えた。それの原因が相談部であることも。
「何とぼけてるの?その亀梨さんって子は1回振られた程度で諦める子なの?諦めるならその程度なんだからいつまでも気にする必要なくなるし、諦めないならまた手伝えばいいんじゃない?」
「でも、もう相談になんてこないんじゃないか?」
「こないならこっちから行けばいいじゃん。次も手伝いますって」
「それって迷惑だろ」
「迷惑かどうかは亀梨さんに聞けばいいんじゃない?本人に確認しないで途中でやめるのは無責任なんじゃない?」
「気楽にって言ったり責任って言ったり矛盾してないか?」
「かもね」
「…ありがとう。もう少し頑張ってみる」
「うんうん。頑張って。なんか手伝えることあったら時間があれば手伝ってあげるから」
「ありがとう」
「いえいえ〜、クラスメイトですから」
通話を切り、ベッドに横になる。御崎さん、そして笹木に言われたことを反芻する。反省点もこれからどうすればいいかも示してもらった。これだけお膳立てしてもらって何もしないわけにはいかない。
明日に備えて目を閉じる。意識はすぐにおちていった。
***
「繋がんねぇ…光のやつ誰と電話してんだ…?」