真実
彩花と光輝が付き合ってから一ヶ月が過ぎた。
とある日、彩花が光輝な病室へ行こうとすると彩花は優香と出会う。その時。
優香から彩花は光輝についての真実を知る。
「恋は虹色に光輝く」
第5話。「真実」
二人が付き合ってから今日でちょうど一ヶ月だった。
――光輝の部屋。
「光輝くんっ!今日で一ヶ月だよー!!!」
「おうおう。落ち着けー」
光輝は内心嬉しい気持ちを隠せなかった。
「あ〜!顔赤いなぁ?なんでだろ〜!」
「このやろ〜!!」
こしょこしょ〜!っと光輝が彩花をくすぐる。
「いや!だめっ!くすぐったいよ!」
彩花はあひゃあひゃと笑いながら抵抗する。
「ふははっ。抵抗しても無駄だぞぉ?」
光輝はさらにくすぐる。
「いやぁ〜〜!!くすぐるなぁ〜!!」
彩花はバタバタと動き回る。
「ごめんは?」
光輝はニヤつきならいう。
「ごめんひゃぁぁい!!」
彩花は笑いながら謝る。
「仕方がない許してやろう。」
と言って光輝は彩花を離した。
「はぁ、はぁ。疲れた。光輝のあほ。」
「うるせ。ばーか。」
「あのねー、恋人なのはいいけどー二人とも患者あまりはしゃぎ過ぎたらダメよ。」
そこへ入ってきた月姫花が忠告する。
「あ、月姫花さん!お邪魔してます!」
「こんにちは、彩花ちゃん。目の具合はどう?」
「すこぶる絶好調ですっ!!!!」
この時既に彩花の目には五色の色が見えていた。
赤。オレンジ。青。水色。紫。
虹の7色が見えればそこからの派生で色々な色が見えてくると月姫花は彩花に伝えてあった。
「あと!2色ですかね!」
「そうね。あと2色だわ。」
「あと少しですねー!」
ふたりの会話に光輝が割って入る。
「ちなみに彩花の好きな色は何色なんだ?」
「好きな色かぁ。今まで見えてなかったし。今は青と赤かなぁ。」
「そうか。じゃあ、みてみたい色は?」
「うーんと。黄色!」
「黄色??なんで黄色なんだ??」
「前、読んだ本にね!幸せは黄色っていう本があったの!だから、黄色を見れたら私も幸せになれるかなぁーって!」
彩花がニコニコしながら言っていると
「そうか。見せてやりたいな。」
と悲しげな声で光輝は呟いた。
「光輝くん??」
「どうした??彩花??」
「いや、なんかね。いま、すっごい悲しそうな顔してたから。」
「そうかぁ?気のせいだろ!」
光輝はニッと笑顔を見せて彩花にグーサインを出す。
「だね!気のせいだ!」
すると彩花も光輝にニッと笑顔を見せてグーサインを出した。
「光輝くん。偉いわね。」
月姫花はその中でただ一人悲しんでいた。
――三時間後
少し前に彩花は光輝の病室を出て行った。
「光輝くん。具合はどうかしら。」
「はい。正直、かなりキツイですね」
光輝は自分でもステージ3の中でもかなり進行しているだろうと察していた。
「そう。あまり、無理はしないで頂戴。あなたが辛くなると彩花ちゃんも悲しむわよ?」
「そうですね。彩花のことも考えないとダメですね。」
「えぇ。頑張りなさいよ。そういえば、光輝くん。薬はどうする?」
「抗がん剤ですか。まだ、待ってください。彩花にガンのことを言うまでは。」
「わかったわ。先生にはもう少し時間をくださいってだと伝えておくわね。」
「いつもすいません。迷惑かけて。」
「迷惑なんかじゃないわ。専属看護師として当たり前のことよ。」
月姫花は少し笑顔になりながらそう告げた。
「ありがとうございます。あ、夕食持ってきてください」
ふと、思い出したような光輝が言った。
「専属看護師だからっていいように使ってないでしょうね。」
「いえいえ、そんなことないですよ??」
「怪しい……。まぁ、いいわ。持ってきてあげる。」
「ありがとうございます。感謝感謝〜」
「因みに、今日は光輝くんの嫌いな野菜のオンパレードや?」
「げっ。やっぱり持ってこなくて……。」
「いま!持ってくるわね!」
満面の笑みで月姫花は光輝の病室から出て行った。
「ふぅっと。やっぱ、進行してんな。そろそろ死ぬか〜?俺?ちゃんと伝えなきゃな。」
ほのかに赤く染まる空を眺めながら光輝は決心したように呟いた。
―――数日後。
「ふぁ〜!今日も1日頑張ろう〜!!美津子おばあちゃん。今日で四十九日だね。天国で元気かなぁ。私のこと見守っててね。」
彩花は元気な声とは裏腹に悲しくなった。
「よし。今日も光輝くんの所へ行こっ。」
そういいながら、ベットから身を起こした。
鼻歌を歌いながら光輝の病室へ向かうためにエレベーターの所に行くと身に覚えのある人がいた。
そこにいたのは光輝の元カノの優香であった。
「何しにきたんだろう。あの人。まさか、光輝くんに会いに。」
「あら、あなた。前にも会ったわね。」
彩花が少し考え込んでいた隙に優香は彩花の前まで来てそう告げた。
「わ、わぁ!!!むっ!!」
驚きを隠せず大声を出してしまったので手で口を押さえた。
「朝から元気ね。それにしてもこんなとこで何してるの?」
「今から。光輝に会いに行くんです。」
「へぇ、そうなの。私も今から行くところよ?」
「この前、もう来るなって言われてたじゃないですか。」
「いいじゃない。来るのは私の勝手よ。」
「光輝の。嫌がることはしないでください。」
「なによ?やけにムキね。」
「そりゃ。か、彼女ですから。」
「へぇ。そうなの。あなた光輝と付き合ったのね。」
「何ですか。あなたには関係ないですよね。」
「そうね。関係ないわ。だからこそ言わせてもらう。あの人を付き合ったら辛いだけよ?」
「それはあなただけじゃないですか?私は毎日幸せですよ。」
「へぇ、あなた。光輝の病気について知ってるの?」
「何の病気かは知りませんけど。相当辛いのはわかります。だから、光輝くんは、治そうって頑張ってますよ。」
「なんの病気かわからないのによくそこまで言えるわね。」
「そういうあなたはなんの病気か知ってるんですか?」
「えぇ、知ってるわよ。光輝はガンよ。」
「えっ。。。?」
「すい臓ガン。この前の時、肺に転移していたからもうかなり進行してるんじゃないの?」
「えっ。。光輝くんはガンなんですか。。。?」
「えぇ。光輝のことだからあなたの事を考えて言わなかったのね。」
「そんな。光輝くんがガンだなんて。」
「信じられない?なら、自分で確かめたらどう?」
彩花は光輝の病室まで走った。
「光輝くん!!!!!」
「どうしたんだよ。そんなに息荒あげて。」
「わた…しに…なにか…かくして…ること…あるで…しょう!」
「ど、どうした??ないよ??」
「嘘つき!!!!さっき…!下で!優香さんから聞いた!!!!」
「あの、バカ。なんで彩花に言うんだよ。」
「バカはどっち!?どうしてちゃんと言ってくれないの?!!」
「その、すまん。お前を悲しませたくなかった。」
「言ってくれない方が悲しむよ!!」
「悪かった。説明するから座ってくれ。」
そして、光輝はガンに関する事を話し始めた。
U18の全日本選手に選ばれていたのにも関わらず。
ガンの発覚で自身の夢をあきらめ治療に専念した事。
ガンに関する全ての事を洗いざらい話した。
彩花は泣いた。
「うぅ。辛かったよね。苦しかったよね。」
彩花は光輝の頭を撫でながら続けた。
「私がそばにいるからね。大丈夫だからね。辛かったら言って。苦しかったら言って。光輝は一人じゃないから。月姫花さんだけに頼らないで。私も頼って?」
「うん。あ、ありがとう。彩花。」
光輝の瞳からも涙が溢れる。
「光輝はなんでも一人で抱え込みすぎ。一人で抱え込むのは良くないから。絶対に抱え込んだらダメ。」
彩花は自分の瞳から涙を流し。
光輝の頭をずっと撫でた。効果も涙を流していた。
そうしたまま少しの時間が過ぎた。
「おう。わかったよ。彩花。もう無理しないから。ありがとう。」
「うん。絶対だよ?光輝にはちゃんと私がいるから。」
「うん。彩花?」
「なに?んっ。」
光輝の唇と彩花の唇が重なる。
彩花は少し目を見開いたが。そっと目を閉じる。
それの時間は。とても長く。永遠に感じられた。
この時、彩花は真実を知れた。
「恋は虹色に光輝く」第5話「真実」を
読んでくださりありがとうございます。
作者の治崎 龍也です。
※ネタバレ含みます。
今回でやっと彩花は効果がガンだと知ります。
これからの二人の展開を楽しみにしていただけるととても幸いです。
(まぁ、あと1か2話で終わるんですが)
この作品が終わりましたら
旧作 新作二本同時投稿を頑張りますので応援してくださると幸いです。
最後に読んでくださり
本当にありがとうございました。
次回もお楽しみに!!