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恋は虹色に光輝く  作者: 治崎 龍也
3/7

オーシャン・ビュー

彩花と光輝が出会ってから一ヶ月が過ぎていた。

世間では夏休みという時期に入っていた。


彩花の目は回復しつつ青。水色。紫。の三色を認識できるようになっていた。


そして、二人の思いが交錯するとき。

物語は佳境を迎える。


「恋は虹色に光輝く」第3話

「オーシャン・ビュー」

どうぞお読みください。

病院生活の虹ヶ丘 彩花。

今は世間で夏休みという時期にはいっていた。


「夏休みかぁ。海とか。友達と遊んだりとか。私もしてみたいな。」

彩花は少し悲しそうな声でそう呟く。


「海とか。友達とか遊んだりしたいって?」

彩花はその声の方を振り向いて満面の笑顔で答える。


「光輝くん!!」


「よぉ、彩花。」


2人が出会ってから既に1ヶ月が過ぎていた


「光輝くん、最近痩せてきた??」


「そうかぁ?痩せてねぇだろ。それより彩花こそ太ったんじゃ…」

彩花は全力で光輝のほっぺをつねる


「いたい!いたい!!ごめんっ!!ごめんってー!」


「太ってないから!ばか!あほ!そーゆーことは女の子には言っちゃダメでしょう?!」


「いや、けど思ってることは素直に言ったほうがいいだろ」


「限度があるでしょ!!ばか!!ばか光輝くん!!」


「彩花さ?いつまで君付けするの?」


「って話をそらすな〜!!で、でも光輝くん歳上だし」


「いや、たった1歳だろ?」


彩花は16歳。

光輝は17歳。


「け、けど。その。歳上は歳上だし……?」


「よし、決めた。次から君付けしたら、今後は話しません!」


「えぇ〜!!!嫌だよー。わかったよー。頑張るから!頑張るけどすぐには無理だよ??」


「ほう、そうか。じゃあまず1回目。」


「光輝くん。じゃなくて!!光……輝。」


「間が空きすぎ失格」

光輝は笑いながらそう言った。


「だってだって!!急に君付けにしろって言われても!難しいよ!」


「そうかぁ?だけど、君付けしたら話せないぞ?」


「えぇー!!光輝の意地悪!!」


「おぉ、上手上手。」


「ばかにしないでよ〜!!」

そんなやりとりをしているだけで彩花は思う。


私って幸せだな。

光輝くんがいるだけで光輝くんと話せるだけで

すごい幸せだ。

私は。私は光輝くんが好き???

けど、私なんかが光輝くんの彼女なんて。。


「彩花?あーーやーーかーー!」

その呼び声に気づいてハッと我にかえる。


「わ!わぁ!!な、なに?!」


「いや、お前ぼうっとしすぎだろ。明後日の方向に目がいってた。」


「あはは。そんなことないよ〜」


「まだ気にしてるのか?美津子さんのこと。」


「いや、もうだいぶ落ち着いたよ。」


美津子は二週間前に亡くなった。

その事実を知った時彩花は泣き崩れていた。

遺族の方から

「美津子おばちゃんはいっつも彩花ちゃんの話をしてたわ。美津子おばちゃんの話し相手になってくれてありがとうね。」と言われた。

しかし、彩花は現実を受け止めきれていなかった。


「大切な人の死ってこんなにもせつないんだね。」


その台詞を聞いて光輝はハッとする。

「そ、そうだな。大切な人の死か。まぁ、少しずつ元気出せよ。」


「うん!ありがと!!光輝くん…光輝、顔色悪いよ?」


「え?そうか?そんなことないと思うけどな?」


「そうかなぁ?まぁ、ないならいいんだけど」


「俺このあと検査あるからもう自分の部屋戻るな?」


「うん!わかったよ!バイバイ!!」


「おう。じゃあな。」


やっぱり光輝くん。なんか変だ。

明日か明後日部屋に行ってみようっと!

確か!12階の1206号室だったかな〜?

とりあえず行ってみよーっと!

彩花はそう決意した。


光輝は部屋に戻った。

12階の1206号室。ステージ3。

光輝の病状はより深く、進行していた。

部屋に戻ると月姫花が部屋掃除をしていた。


「月姫花さん。ちょっと。失礼。します。」


「光輝くん。また無理したわね。いい加減にしなさい。」


「すいません。わかってるんですけど彩花を見ないと辛くて。」


「それはわかるわよ。あなたのお陰かわからないけれど彩花ちゃんの目も回復してきているのよ。」


「ほ、本当ですか!?!?うっ。いてて。」


「落ち着きなさい。回復してきているのは本当よ?今は水色。青色。紫色。この三色の認識ができているわ。」


「青?!水色?!それじゃ!海!海見えますか?!」


「そうね。診断の時に写真で見て驚いていたわよ?こんなに青がいっぱいのところがあるんですねーって」


「なんであいつは俺に言わないんだ」


「聞かないからでしょ?」


「あ。」


「はい、解決っと。あ!彩花ちゃんに海を見せようとしてるなら明日か明後日にしなさい?今日は休んで。」


「はい、そーします。いつもありがとうございます。月姫花さん。」


「それも仕事ですから。」


「私事も混ざってるくせに」


「なんか言ったかしら??」

本当に聞こえていなかったようで

光輝はなぜかホッとした。


「いや、なんでもないです!」


「なんでそんなに元気がいいのよ」


「たまたまです。」


「そうかしら。まぁわかったわ。それじゃあゆっくり休んでね。」


「はい、休みます。」

月姫花さんは光輝の部屋をあとにした。


「彩花に海をバックに告白でもしてみようかな。」

と考えるがすぐに否定する。

「いや。ない。ぜったいない。ありえん。」

そう言いながら昼間という早い時間で光輝は眠りについた。



――翌日。


「光輝。光輝ってば。起きてよー。」


ん?この声は…まさか。


「なんでお前がここにいるんだよ。優香。」


「いいでしょう?お見舞いに来てあげたの。いらなかった?」


「ああ。もちろんだ。いらん。元カノからのお見舞いなんて最悪極まりないな。」


「なんてこと言うのよ。本当変わったわね。ガンになってから」


「うるさい。もともとだ。その保護者ヅラやめろ。俺はお前の子供でもないし。お前のなんでもない。」


「ひどいこと言うわね。本当に。」


「早く帰れよ。」


「嫌よ。掃除くらいはしていくわ。」


そこへ来訪者が来る。

「光輝くん……光輝!遊びに来たよっ……??」


最悪だ。なんでこの状況だ。

「よぉ、彩花。どうした?寂しくなったか?」


「なんでそーなるの!もう!すぐバカにするんだから!」


「誰やこの子。彼女?」


「か、か、か、か、かのじょ?!?!?!」


「あ、違うのね。」


「あぁ。違うよ。」


「そう。」


「あれ。お邪魔だった?あはは。失礼しまーす。」


「彩花。待て。こいつは俺の元カノだ。」


「元。カノ。ですか。そう。ですか。」


「あぁ。気にするな。」


「やけにこの子に優しいじゃない。惚れてんの?」


「うるさい。お前には関係ない。本当にそろそろ帰れよ。」


「だから、帰らないって言って」


「帰れって言ってるだろ!!!」


「え……光輝くん??」


「頼むから……帰ってくれ。」


「そう。わかったわ。帰るわよ。じゃあね。」


「あぁ。二度と来るな。」


「光輝くん。大丈夫……???」

彩花は光輝に近づいて聞いた。


「あぁ、大丈夫だよ。」

そう言いながら彩花の頭を撫でる。


「あわあわ!!!な、な、なにしてるの?!」


「いいから。動くな。」


「は、は、は、はいぃ。」

そうして。しばらくの間。

光輝は彩花の頭を撫でる。優しく。

壊れてしまいそうなものを壊さぬよう優しく。

ただただ、撫でた。


「あ、あのぉ。」


「お、おう。も、もういいぞ。」

顔が赤くなっているのをさとられた。


「あれ??心なしか顔が緩んでる???」


「うるさい。緩んでない。」


「は、はい!緩んでません!!」


「あはは、なんだそれ」

光輝は笑いながらそう言う。


「光輝の笑顔なんかすっごいいいね!」


「そうかぁ?」


「うん!いいと思う!!」


「ありがとう。てか、なんで来たんだ?」


「あ!そうそう!屋上行こ!!」


「ほう、これまたなんで」


「私。わたしね!!青色見えるの!!」


「おう、知ってる。」


「な、な、なんで?!?!」


「月姫花さんから聞いた。」


「ドッキリだったのにぃ。」


「失敗したな。それにしてもなんで屋上だ?」


「おーしゃんびゅー!!!!!」


「は?」

かくして二人は今屋上のドアの前にいた。


「あ、あ、あけるよ。」


「おう、開けろ?」


「そ、それ!!」

そこに広がっていたのは白黒の世界。

ただ。今までと違うのは。

空が水色に色づき。海は鮮やかな青色に染まっていた


「綺麗だな。ん?彩花??」


「う、うん。すっごい。すっごいよ。こんなに綺麗なんだね。 」

涙を流しながら彩花は言う。


「な、泣いてるのか?!?!大丈夫か!?!?!!」


彩花はしっかりと涙を拭って答える。

「うん!大丈夫!!最高の気分!!」


「そうか。それは良かったな。」

しばらくの沈黙。

そうして彩花が喋り出す。


「ねぇ、光輝?」


「お、おう。どうした?」


「私ね。光輝に会えて良かった。光輝のお陰で色も見えてきたんだと思う。」


「ど、どうしたんだよ。急に」

少し焦り、それを隠すように笑いながら光輝が尋ねる


「だからね。ちゃんと言おうって決めたの。」


「な、なにをだよ。」

そうして海をバックにした彩花は光輝に伝える。


「駿河 光輝くん。私の彼氏になってくれませんか?」


「え??」


一本の目が見えない少女の糸。

一本のガンと闘う少年の糸。


とても優しく。儚い糸と。

とてもつよく。儚い糸が。


二つの儚い糸が今。交わろうとしていた。

「恋は虹色に光輝く」第3話。「オーシャン・ビュー」

をお読みくださりありがとうございます。

作者の治崎 龍也です。

※ネタバレを含むので先に読むことをお勧めします。


今回は光輝の元カノである優香を登場させました。

そうして二人の思いの交錯だったり。。

彩花の気持ちをぶつけるところなど楽しんでいただけたなら幸いです。


今回のお話でこの物語は佳境です。

できれば6から7話の完結を目指しています。

2000から2500文字とか言っていたんですが

全然守れないのでもう好きに書きます笑笑


最後に

本当に読んでくださりありがとうございます。

駿河光輝と虹ヶ丘彩花のラブストーリーを。

最後までお読みください。

ちざきりゅうやでした!!

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