『こばなし その3』
ここは、逆さ虹の森。
その森に、お池がありました。
ある日、お池にリスくんとクマさんがやってきます。
リスくんは言いました。
「この池に斧を落とすとさ。
女神様が出てきて、
『あなたが落としたのは金の斧?
それとも銀の斧?』って聞いてくるらしい。
そこで正直に、普通の斧を落としたって答えれば、金と銀の斧を両方くれるらしいぜ」
リスくんは、とっても悪い顔でそう言います。
クマさんは斧を持たされています。
そして、言うのです。
「リスくん、やめよ~よ~」
「うるさい! うるさい!」
「ほんとに斧を投げ入れるの~?」
「やれ! やれ!」
リスくんにそう言われ、クマさんはしぶしぶ斧をお池に投げ入れました。
すると、お池がパーっと光ります。
そして、お池の中から……
斧が頭に刺さった、
女神様が現れたのです!
女神様は大きくて真っ黒な
禍々しいオーラを放つ
とても恐ろしい形をした斧を
その手に、握っておられました。
――「死」
なんでしょう?
リスくんとクマさんの脳裏には、
その真っ黒な斧を見た瞬間、
見たことの無い文字が浮かんだのです!
女神様は言います。
「斧を池に投げ入れたのは、どっちだ?」
リスくんとクマさんは、
血で顔が真っ赤になった女神様と、
その怒った声がとても怖くて、
ぶるぶると震えています。
リスくんは震えながら、クマさんを叩きます。
クマさんは、涙を流しながら答えました。
「わ、わたしです!
斧を投げ入れたのはわたしです!」
女神様は、怖い声で聞きます。
「ならば、斧を投げよと命じたのはどっちだ?」
クマさんは怖くて、怖くて、
涙が止まりません。
でも、勇気をふりしぼって言いました。
「わ、わたしです!
わたしが自分の意志で斧を投げ入れました!」
すると女神様はクマさんの頭をつかみます。
そして、血で真っ赤になった怖~い顔で言うのです。
「お前はうそつきだ」
クマさんは怖くて言葉が出ません。
女神様は言います。
「うそつきには何もやらん。消えろ」
そう言われたクマさん。
でもクマさん、怖さで足が動きません。
女神様は怖くて大きな声で言いました。
「いけ!!」
その女神様の声を聞いて、
クマさんは森の中へ、走って逃げていきました。
……
リスくんも、
そ~と、そ~と、
森に帰ろうとしています。
急にリスくんのまわりが……
影におおわれます。
大きくて真っ黒な、
禍々しいオーラを放つ
とても恐ろしい形をした斧。
女神様はそれを振り上げて、
リスくんの前に立ったのです!
女神様は言いました。
「お前は自分に正直だね」
そして、美しくも、恐ろしい笑顔。
女神様は言いました。
「そんな、お前には、
この斧の一撃! くれてやろう!」
「うわー!!」