表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

『第3話 PART3』

 

 ある森に、

 動物たちが()らしておりました。


 ある日、

 悲しいことが起こります。


 コマドリさんと、


 ヘビくんと、


 リスくんと、


 アライグマが、


 川で(おぼ)れて死んでしまったのです。



 キツネは、アライグマとクマさんが助けてくれたから無事でした。


 助かったキツネは、

 なんとかできないかな? と思います。



 森には、願い事が(かな)うと(うわさ)のある、ドングリ池というお池がありました。


 そこで、キツネはドングリ池に行って、悲しい事を無かったことにして欲しいとお願いしたのです。



 でも、ドングリ池、(こま)ります。


 死んだ動物を生き返らせることは、できないからです。


 そこで、かわりに、

 不思議な、逆さまの虹を架けて、

 キツネを今日の朝に戻してあげたのです。



 だからキツネは、みんなが川で溺れないようにがんばります。

 一日をやり直して、いろいろがんばりました。


 そしてまた、もう一度、

 みんなで、川にやってきたのでした。





 川の前で、クマさんは言いました。


「わたしが乗ったら橋がこわれちゃう。

 わたしは、川を歩いて渡るわ」


 リスくんは言います。


「クマ! オイラを乗せてけ!」


「うん、いいよ。

 みんなは無理だけど、一匹なら大丈夫」


「よし、クマ、いくぞ!」



 そんなクマさんと、リスくんの会話。


 すると、アライグマが、

 リスくんを怒鳴(どな)ります。


「こら! リス!」


 アライグマの大きな声!


 しかも、アライグマ。

 ゲンコツをする、ふりをします!


 リスくん、これにはびっくり。

 でもリスくん、わかったみたい。


 リスくんは、クマさんに言いました。


「クマ〜、ありがとう」


 そう。

 お礼を言っていないリスくんを、アライグマは怒ったのです。


「うん、いいよ。なでなで」


 お礼を言えたリスくんを、クマさんがなでなで。

 リスくんを頭の上に乗せました。



 キツネは言います。


「さすがタヌ吉くんだ」


「タヌキじゃねーよ!

 お礼もほめるのも、すなおにな!」


 アライグマは言いました。





 クマさんとリスくん。

 川を歩いて渡ります。


 ほかのみんなは、今にもこわれそうなオンボロの、オンボロ橋で、川を渡ることになりました。





 ぷちり、ぷちり。


 ぷちり、ぷちり。



 オンボロ橋は歩くと、イヤな音がします。


 だから、キツネは怖くって、歩けなくなってしまいます。


「イヤな音、やっぱり怖い……」



 キツネの頭の上でコマドリさん。

 キツネをはげまします。


「あたしの歌で勇気をあげる。

 ヒン♪ カラカラ♪ ヒンカラリン♪」


 すると、キツネ、勇気が出ます。


「ありがとう、コマドリさん」


 キツネは、また、歩きだしました。





 ぷちり!




 その時です!


 オンボロ橋の(なわ)の一本が、なんと、

 ぷちりと、切れてしまったのです!


 切れたのは、ちょうどキツネの足の下にあった縄。


 キツネはオンボロ橋から川へ、

 落ちてしまいます!

 しかも、切れた縄が体に巻きついて、

 溺れてしまったのです!



「げふっ! がはっ!」


 キツネは苦しそう!



「げふっ! がは……あれ?」


 あら?

 キツネは、息ができるようになりました。


 みると、コマドリさんが必死にキツネの頭をつかんで、飛んでいます!


「無理しないで! コマドリさん!」


「いや! はなさない! はなれない!

 しが! にひきを! わかつまで!」


 コマドリさんは必死です!


 でも、コマドリさんの小さな体では、いつまでも持ちそうにありません!


「無理しないで! コマドリさん!

 今度は……今度はボクの番なのかもしれない……」


 キツネは力なく、そう言いました。





 そこに、アライグマが泳いできます!


「コマドリ、大丈夫だ! 俺が支える!

 しかし、縄のせいで、重いぞ!」


 アライグマはキツネが溺れないように、支えてくれます。


 でも、キツネに絡まった縄が重くって、キツネを支えるのが精一杯(せいいっぱい)


 岸まで泳ぐことができません!


「くそー!」


「無理しないで! アライグマくん!

 やっぱり……今度はボクの番なのかもしれない……」


 キツネは力なく、そう言いました。





 そこに、今度はヘビくんがきます!


「ちょっと、まっててね〜」


 ヘビくんは泳ぐのが得意です。


 ヘビくん、キツネに絡まった縄の先を持って泳ぎます。


 スイスイ、スイスイ泳ぎます。


 そして、先に川を渡っていた、

 クマさんたちのところに向かうのでした。


 あぁ! でも、あと少し!


 あと少しで、

 力持ちのクマさんに縄が(とど)きそう!


 なのに、縄と、キツネたちの重さで届きません。


「このままじゃ、みんなも一緒に……」


 キツネは力なく、そう言いました。





 そこに、リスくん飛び込みます!


 リスくん、流されながらも、

 ヘビくんをキャッチ!


 そして、持ってたゴボウをのばして、叫びます!


「クマー!」





 クマさんはリスくんの声にこたえます。


 クマさんゴボウをつキャッチ!


 あとは力の強いクマさんです。


 リスくんを助け、


 ヘビくんを助け、


 縄をグングンひっぱります。


 グングングングンひっぱります。


 そして、

 キツネとアライグマとコマドリさん。


 みんな、み〜んな助けたのでした!



 良かったですね!









 川岸でびしょぬれのみんな。


 アライグマは笑いました。


「はははは! 災難(さいなん)だったな!」


 みんなも笑います。


「でも、オイラ面白かった!」


「良かった、みんな助かって〜」


「うん、おなかい〜っぱい!」


「楽しかったわ。一曲歌おうかしら♪」



 でも、キツネだけは笑えません。


「みんな、ひどい……

 ボクの苦労(くろう)も知らないで……」





 そうして、

 動物たちは川を渡りきりました。


 キツネは、みんなが川に溺れて死んじゃわなくて、とっても、とっても、嬉しそう。


 だから、ドングリ池に、ありがとう。

 お礼をしに行ったのです。









 みんなはドングリ池につきました。


 キツネは、お池にお礼をするため、お池にドングリを投げ入れます。



 すると、お池がパーっと光りました。



 キツネはドングリ池にお礼を言いました。



「今日は悲しい事が起きませんでした。

 もう、逆さまの虹はいりませんよ。

 ありがとう、ありがとうドングリ池さん」



 キツネのお礼が聞こえたみたい。

 お池はスーっと光りを消しました。



 良かったですね!









 あら?

 また、お池がパーっと光ります。


 今度は、アライグマが、

 お願いごとをしようと、ドングリを投げ入れたのです。


 アライグマは、ドングリ池に言いました。



「今日みたいな楽しい一日が、

 何度も、何度も、やってきますように!」









 あら?

 アライグマのお願いごとを聞いたキツネ。

 大あわてになります!


 そして、ドングリ池に叫ぶのです!


「まって! まって! 今の無しで!」


 でも、お池には聞こえなかったみたい。


 お池はスーっと光りを消したのでした。









 キツネはお顔が真っ青です。

 青い顔で、お池を見てつぶやきます。


「う、(うそ)でしょ……?」


 そして、今度はアライグマを見て、

 キツネはお顔を真っ赤にするのでした。



「どうしたんだ、キツネ?」



「たーーぬーーきーーちーー!」









 次の朝。


 森のお空を見上げれば、キレイな青空が広がっておりました。



 ……でも、


 それからというもの、この森のお空には、

 ときどき、逆さまの虹が架かるようになったのでした。









――「逆さ虹の森」


 逆さまの虹が架かる、

 いつか、そう呼ばれる森の物語……









「おい、キツネ! 見てみろよ!

 また、逆さまの虹が架かっているぜ」



「そうだね〜。

 ボクはあの虹が、大嫌いで大好きさ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ