『第?話 TAKE2』
逆さまの虹が架かった森の中。
根っこ広場という場所に、アライグマとキツネとコマドリさんが集まっていました。
三匹は相談しています。
「アライグマくんも、コマドリさんも今日は川に近づかないで、欲しいんだ」
「キツネ、なんでだよ?」
「そうよ、どうして?」
「それはね、今日、川に近づくと溺れて死んでしまうからなんだよ」
「なんで、そんなことがわかる?」
「えとね、ボクは未来から今日の朝に戻ってきたんだ。
それで、今日は川に近づいた動物は死んでしまう運命だから、それをお知らせに来たんだよ」
キツネは、信じられないことを言います。
「おいおい!
そんな話し誰が信じるんだよ!」
「あたしは、信じるわ」
アライグマは信じませんが、コマドリさんは信じるみたい。
「何言ってるんだ、コマドリ!」
「タヌキ、あんたバカね」
「タヌキでもバカでもねー!」
「忘れてるみたいね……。
ねえ、タヌキ。あんた、あたしの大ファンよね。大ファンには美味しい木ノ実をあげるわよ」
木の枝からアライグマに、そう話すコマドリさん。
アライグマは木ノ実が欲しくて嘘をつきます。
「うん! 俺、タヌキじゃないけど、大ファン! ……あいた!」
すると、アライグマは転んでしまいます。
木の根っこが足に絡まって、アライグマを転ばせてきたのです。
「わかった?
ここは、嘘をつくと根っこが絡まってくる根っこ広場。
でも、キツネに根っこは絡まってない。
だから、あたしはキツネを信じるわ」
「な、なるほどな。俺も信じるよ」
アライグマもキツネを信じたみたい。
キツネは相談を続けます。
「ありがとう。
じゃあ、二匹には手伝って欲しいことがあるんだ」
「なーに?」
「なんだ?」
「二匹には果物広場に行って、ヘビくんに川に行かないように伝えて欲しいんだ」
「お前はどうするんだ?」
「ボクは野菜広場に行って、リスくんとクマさんに、川に行かないよう伝えるよ」
「どうして、あたしがタヌキといっしょなの?」
「アライグマくんは方向音痴なんだ。
だから、コマドリさんがついていってあげないと迷子になるんだよ」
「タヌキのくせに、方向音痴!?」
「いや、方向音痴だけどタヌキじゃないから……」
そんな相談をした三匹。
森のみんなが川で溺れないように、みんなに伝えに行きました。
果物広場でヘビくんは、果物をバクバク食べています。
食べすぎて、おなかが大きくなってるヘビくん。
泳ぐどころか、動けないかも。
「ヘビ、今日は川に行っちゃダメだぞ!」
アライグマは伝えます。
「うん、わかった」
ヘビくん、きいてくれました。
でも、その後で……
大きな岩が、ゴロンゴロンと落ちて来て、ヘビくんをペッチャンコにしそうになります。
でも、アライグマがヘビくんを蹴ってサッカーをします。
だから、ペッチャンコにならずに済みました。
「アライグマくん、ひどいよ〜」
野菜広場でリスくんは、クマさんをゴボウで叩いて、イタズラしてます。
クマさん、とっても困ってます。
「二匹とも、今日は川に行かないでね」
キツネは伝えます。
「う~ん、わかったよ~」
「しょ~がね~な~」
二匹は、きいてくれました。
でも、その後で、
イタズラされたクマさんが、リスくんを叩いてしまいそうになります。
でも、キツネがニンジンで、リスくんを打ってカキーンとホームランにします。
だから、リスくん叩かれずに済みました。
「うわー! キツネ、おぼえてろよー!」
アライグマとキツネとコマドリさん。
三匹が、森のみんなにお話ししたから、今日は誰も川に近づきませんでした。
今日は誰も、川で溺れなかったのです。
良かったですね!
その夜。
悲しいお知らせは届きません。
キツネはとっても嬉しくて、安心した、幸せな顔で、眠ります。
「良かった。これで悲しい出来事は無くなった。きっと明日は明日がくる……にゃむにゃむ」
次の朝。
キツネが朝起きてお空を見上げると、そこには逆さまの虹が架かっておりました。
「な、なんで!? どうして!?」
キツネはそんな風に驚いて、
お空の虹の前に座り込んだのでした。
森の中。
アライグマとキツネが歩いています。
二匹はお空を見上げてお話しします。
「おい、キツネ見てみろよ! 珍しい逆さまの虹が架かっているぜ!」
キツネはアライグマに聞きました。
「アライグマくん、昨日もあの逆さまの虹が架かっていなかったかな?」
「何言ってんだ。昨日は大雨だっただろう?」
どうしたのでしょう?
アライグマの答えを聞いて、キツネは泣き出します。
「ど、どうした、キツネ!?」
「アライグマくん、今日はドングリ池にお願いごとをしに行く約束だよね」
「お、おう! そう話しただろう?」
「ドングリ池はね、お願いごとを叶えてはくれないんだ」
泣きながら、
泣きながらキツネは言います。
「ドングリ池は願いごとが叶うように、力を貸してくれるだけなんだ。
ボクは、ボクは自分では叶えられないような、バカなお願いをしちゃったんだ」
「何があったんだ、キツネ……」
「ボクのバカなお願いに、ドングリ池は力を貸してくれた。
今日あった出来事を無かったことにしてなんて、バカなお願いに! 叶えられないお願いに!
だから、だから、終わらないんだ!」
キツネは、泣きながら叫びました!
「今日が、一日が、終わらないんだ!」
キツネはドングリ池に、
「悲しい出来事を無かった事にして」
そう、お願いしました。
でも、悲しい出来事は、
悪いことの積み重ねです。
リスくんがイタズラをやめていたら、
クマさんが勇気を出せていたら、
ヘビくんが食べすぎなかったら、
コマドリさんが羽づくろいをサボらなかったら、
悲しい出来事は、
起こらなかったのかもしれません。
悪いことが積み重なった悲しい出来事。
それを無かった事にしようとした、
欲張りなキツネ。
だからキツネは、悲しい事が無くなるように、毎日、毎日、がんばって、がんばって、がんばり続けるのです。
今日という、一日を繰り返しながら……
――「逆さ虹の森」
逆さまの虹の架かる、
いつか、そう呼ばれる森の物語……




