『こばなし その6』
根っこ広場に、
アライグマとキツネがいます。
どうやら、けんかをしているみたい。
キツネが怒っています。
「もう! ジャパリまん半分こして食べようって言ってたのに、先に全部食べちゃうなんてひどいよ!」
「うるせー! リスのやつがいたずらして、水にからしを入れて辛くて仕方なく半分食べたんだ!
そのうえ、俺がむせてる間に残した半分を、ヘビのやつが勝手に食べやがったんだよー!」
「もう! ほかの動物のせいにして!
そんなウソ、誰が信じるんだい!
この、暴れん坊のウソつきタヌキ!」
「ウソじゃねーし!
タヌキじゃねーし!」
アライグマと言い争っています!
「ふん!
君はタヌキでも友達でもないやい!
キツネの友達はやっぱりタヌキと決まってるんだ!」
「ふん!
なら、アライグマの友達はフェネックと決まってるんだい!」
「なにさ!」
「なんだよ!」
もう、大げんかです!
「なにさ!
ボクがいないと道に迷っちゃう、あさっての方向に全力疾走するフレンズのくせに!」
「うるせー!
俺があさってなら、お前は明日の方向に全力疾走するフレンズだい!」
「なにさ! ボクの気も知らないくせに!」
もう二匹は止まりません!
ついに、二匹はなぐりあいをしようとしました!
「お前が危ない目にあっても絶対助けないからな! ……あいて!?」
「君に何かあってもボクは何もしないからな! ……あいて!?」
「お前なんてきらいだ! ……あいて!?」
「ボクも君がきらいさ! ……あいて!?」
あらあら、
どうしたのでしょう?
二匹とも、木の根っこが絡まって、それぞれ、勝手にころんでいます。
けっきょく、二匹はなぐりあわずに、勝手にころんで、ボコボコになるのでした。
木の上で二匹を見ていたコマドリさん。
あきれたように言いました。
「男って、バカなフレンズ……」